日別アーカイブ: 2022年1月24日

冷蔵庫へ愛を込めて。

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

先月の24日と今月の11日に、20年以上もの

間愛用していた電化製品二つとお別れ致しました。

先に逝ったのはカウンターに沿って配置していた

業務用コールドテーブルタイプの冷凍庫。そして

後を追うようにキッチンに配置していた家庭用冷蔵

庫が静かに息を引き取りました。

嗚呼、、同志よ。さようなら。冷凍庫はバーの要

ですからね。20年もよく働いてくれました。

お疲れ様。寿命はとっくに終わっているはずなの

に、零細の店主を気遣ってか、随分と踏ん張っても

らいました。繁盛した日々も、閑古鳥が鳴く日々も

共に乗り越えた戦友です。

うぅ、、こんな、、あられもない姿に、、、

しかし汚いなぁ 笑

こちらが新入りです。これから共に歴史を刻んで

ゆきます。頑張りましょう! 笑

そしてこちらは後を追うように息を引き取った

キッチンの主の御遺体になります。まるで眠って

いるように安らかです 笑 先の冷凍庫と同期です

から、こちらも天寿を全うしたと言えるでしょう。

白物家電も長くなると愛着が湧くものですね。

20年間本当にお疲れ様。ありがとう!

しかし、、、汚いなぁ 笑

こちらも新入りです。カウンターの冷凍庫がフロン

ガスの規制で内側の容量が物理的に削られてしまっ

たので、こちらの新入りは冷凍室の容量を増加し、

カウンターの冷凍庫と合わせますと、以前より

冷やせる酒が増えました。とても優秀な子です。

当店は純然たるバーですから、こういった使い方の

方がしっくりきます。

さて、今回は相次ぐ訃報に思わず筆を取りました

が、旅立っていった冷蔵庫達を目の当たりにして、

私はある小説を思い出したのです。

ヒキタクニオさんの『俺、リフレ』という小説で

す。ひょんなことから意思を持ってしまった冷蔵庫

のお話。帯にもあるように、本当に泣ける小説です

笑 私は序盤、リフレ(冷蔵庫の名前)が自身の

構造について語るシーンで、「血液は電流だ」と

いう台詞があるのですが、そのあたりから

惹き込まれて、あっという間にリフレの虜になりま

した 笑 まあ、何せ冷蔵庫の一人称で進む物語

ですから、稚拙に感じる場面もままありますが、

家主の家族を何とか守ろうとする冷蔵庫のいじらし

さが切なすぎて、涙が止まりませんでした 笑

お勧めの小説です。他に冷蔵庫物だと、やはり阿刀

田高さんの『冷蔵庫より愛を込めて』が有名です

よね。

短編集ではありますが、私も昔読んで、阿刀田さん

の職人芸に感銘を受けました。どちらも良いのです

が、今の私の心境だと、『俺、リフレ』になるので

す。この小説はもっともっと評価されても良いはず

なんですけどね。実写化を心待ちにしています 笑

最後になりますが、これで幾つ目でしょうか、

店の家電や設備が寿命を迎えたのは。エアコンに

冷蔵庫の面々。トイレのタンクにターンテーブル

と。数え上げてみれば結構な頻度で旅立ちを

見送っています 笑 次は私ですかねぇ、、笑

そうならないよう、日々精進致しますので、今後と

もよろしくお願い致します。

では、また、、

『俺、リフレ』

『冷蔵庫より愛を込めて』