月別アーカイブ: 2020年10月

ヤングカリラと黒いエドラダワー。

 

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

どんなに世の中が、いや、世界がコロナ禍に

苦しみ続けていても、時は寸分狂わず刻まれ

ていきます。早いですね。もう 十月も後半に

入りました。ニュースではアメリカ大統領選

の模様が連日報道されています。いやぁ、

○○ンプさん面白いなぁ。陽性反応まで出し

ておいてあそこまで吠えなくてもいいのに。

どうやら劣勢の様ですけど、この方、前回

も逆転勝利を収めていますからね。最後の

最後までわかりませんな。はっきり言って

楽しみです 笑

さておき、私は己の仕事に従事したいと思い

ます。

この見慣れないボトルはロクストンズという

ボトリング会社のシングルモルトウイスキー

で、銘柄はカリラになります。熟成年数は

6年と短期熟成になりますが、アイレイ島の

モルトウイスキーは長期熟成であればいい

という常識だけではその個性を語る事は

出来ません。これはウイスキー。延いては

蒸留酒全般にいえる事ですが、樽熟成が長く

なればなるほど、荒々しさは失われ代わりに

深みは増すのですが、人の好みによっては

若く、荒々しい方が好みだという方も多数

おられます。特にバーボンウイスキーなどは

これに該当しますね。カリラという酒は短期、

長期、どちらに転んでもそれなりに結果は出せ

ていますけど、ことヤングカリラについては私、

良い思い出しかありません。ノンチルフィルタ

ー、カスクストレングス。剥き出しの若いカリラ

を是非お試しください。ワンショット1400円

でのご提供になります。

ボトルを横から見るとこんな表記が、、。

何を意図しているのかわかりません 笑

そしてこちらがシグナトリー社のエドラダ

ワー。この蒸留所は世界一小さい蒸留所として

有名です。2007年からシグナトリー社が

所有しているようなので、こちらもオフィシャ

ル扱いになるのでしょうか。

しかし、黒い。黒々としていますね。ナチュ

ラルカラーと表記があるので、カラメルの

色では無さそうです。その黒さから想像できる

ように、非常に濃厚な香りと甘さを持ち合わせ

ています。シェリー樽熟成、アンチルフィル

ターで、アルコール度数は46度。前述のカ

リラでも触れたこのチルフィルターですが、

冷却濾過の事です。樽熟成で発生した澱(おり

)などを取り除くために行う工程なのですが、

澄んだ琥珀色に戻せるというメリットがある

反面、香りや風味が一部損なわれるという

欠点を持っています。即ち、ノンチル、アン

チルとはこの工程をカットしているという事

を意味していて、冷却濾過を行なっていない

という事になります。所謂、生の状態での

瓶詰めですね。樽熟成してから、瓶詰めまで

の工程を極力削っていく事で、風味豊かなウイ

スキーを提供する事が可能になります。ノンチ

ル、アンチルのウイスキーは年々増えています

ね。これはカスクストレングス(樽熟成後の

加水をカット)と同様に、生のウイスキーへの

需要が高まってるという風潮なのでしょうね。

是非、アンチルの圧倒的な旨みをお楽しみ

下さい。こちらはワンショット1200円での

ご提供となります。

さて、今回はタイプの異なるスコッチウイス

キーを二銘柄紹介致しました。どちらも葉巻

との相性は良好です。葉巻を嗜む方もそうで

ない方も是非お試しください。では、また、、

 

久々のメタクサ・グランドファインとついでにギリシャの話。

当ブログに立ち寄っていただき、誠に

ありがとうございます。こんにちは、

バーシエールの岡本です。今年は中秋の

名月が10月1日でした。過ごしやすい

陽気で見る満月はとても気分が良く、

ついお酒が進んでしまいますね。因みに、

今年10月の満月は、月の満ち欠けサイ

クルの関係で、もう一度あります。基本、

満月は月に一度ですが、こうして稀に

二回目に遭遇する事があります。それを

俗にブルームーンと呼びます。ブルーム

ーンとは、英語のスラングで、稀であり

滅多にない事から、出来ない相談という

意味合いがあります。これは日々の営業

の中で、お客様には伝えてきましたが、

古いカクテルにブルームーンというジン

ベースのカクテルがありまして、この

ような意味合いが込められたカクテル

だけに、バーにて、男性からのアプロー

チを出来ない相談としてスマートに断る

時に注文されていたなんて話が逸話とし

て残っています。やけにお洒落な話では

ありますが、私が断られる立場である

なら、言葉にして欲しいところですが 笑

今月二回目の満月は10月31日だそう

です。興味のある方は是非ご覧になって

みては如何でしょうか。

さて、話が逸れましたが、私、秋が深まる

とブランデーを体が欲します。きっと原料

が季節のフルーツである葡萄であるからな

のでしょうが、日暮れが早く夜が長くなっ

てくると、深い酒が恋しくなるのです。

ウイスキーやラム酒も良いですが、今回は

秋の夜長に愉しむブランデーについてのお話

を少し。ただ、ブランデーと言っても今回は

ちょっと変わり種を用意しました。

こちらはメタクサという、ギリシャの

ブランデーになります。ギリシャでは

最古の蒸留所になるようですが、ギリ

シャでは私、この酒とウゾという、ア

ブサン似たアニス系の酒以外存じ上げ

ないので、最古という文言がいまいち

胸に響きません 笑

ブランデーとは葡萄の蒸留酒の事で、こちら

のメタクサも原料は葡萄です。葡萄品種は

主にユニブランなどの白ブドウを使って

いますが、メタクサの場合、発酵、蒸留後、

マスカットに数種類のハーブ。薔薇の花びら

などをブレンドして熟成されます。そのため

、通常のブランデーと比べて甘く、スパイシ

ーな味わいとなっており、アルコール度数の

強いリキュールのような仕上がりです。そして

メタクサといえば、画像にもあるように、こち

らの陶器ボトルが特徴的。ガラスの瓶のメタ

クサも存在しますが、時代の流れと共に見なく

なりました。

こちらは数年前までのメタクサ・グランド

ファイン。昔はメタクサ・グランドオリンピ

アリザーブに使われていましたが、いつしか

グランドファインが詰められるようになり

ました。

こんな感じです。主力商品はグランド

ファインでしょうから、メタクサの代名詞

ともいえるこの陶器ボトルに移し替えた

のでしょうか。まあ、こちらとしては正直、

どちらでもいいです 笑 味の開きはほぼ

ないものと言っていいですから。

今回、当店が久々に仕入れた銘柄はメタ

クサ・グランドファイン コレクターズ

エディションになります。こちらもまた

以前のグランドファインと比べて大差ない

ので、正直どちらでも、といった感じ。

大事なのはメタクサのボトルが陶器である

事と、この独特な甘やかさを持ったブラン

デーが日本で飲める事なのです。

ブランデーの世界的シェアは断トツで

フランスのコニャック、又はアルマニャック

のブランデーになります。アルメニアという

国で製造されているアルメニアブランデーも

次いで有名ではありますが、こちらはアルメ

ニアンコニャックという触れ込みで製造販売

していますから、謂わばコニャックの模倣。

メタクサとは全く異なるものです。メタクサ

はそう、ベルモットを蒸留すれば、その

味わいに近づくのかもしれません。原料も

似ていますしね。

こちらのメタクサ・グランドファイン

コレクターズエディション。飲み方は

ブランデーになりますので、ストレート

でお口に運んで頂くのが理想ではありま

すが、甘みが強いので、デザート感覚に

オンザロックで冷やしてからの飲み方も

推奨出来ます。甘くて濃いお酒なので、

葉巻とのマリアージュも期待出来ますね。

お値段ですが、以前のグランドファイン

と比べて少し上がりましたので、当店でも

少し上げてワンショット1300円での

提供になります。是非お試しください。

さて、今回はメタクサをご紹介致しました

ので、原産国であるギリシャについての

考察を少し。

ギリシャ神話、アリストテレスにピタゴラス。

オリンピックなどと、文武に通じ、全西洋文

明発祥の地とされるこの国の魅力はやはり、

エーゲ海とそれを臨む白い街並み。石灰から

なる漆喰壁と、まるでブルーキュラソーを

垂らしたように真っ青な海とのコントラスト

は類稀な異国情緒に溢れています。

1999年に刊行された村上春樹さんの

スプートニクの恋人は、世界遺産にも登録

されている、エーゲ海の南に位置するロドス

島が舞台となっている長編小説で、村上春樹

さんの作品では私が最もお勧めする作品の

一つです。所謂、セクシャル・マイノリティ

である本作のヒロインであるすみれと、

小学校の教師である主人公との変則的な

ラブストーリーで、物語の大団円をロドス

島で迎える事になります。村上さんならで

はのタッチで描かれるギリシャという国の

時の流れが、細部に渡って琴線に触れる

素晴らしい作品です。

こちらがロドス島。生涯の中で一度は

訪れたい島。

そして、こちらの映画もギリシャが

舞台となっております。ネバー・オン・

サンデー。日曜はダメよ、ですね。

こちらは古いです。1960年のアメリカ

映画なので、モノクロ時代になりますね。

この映画は映画本編よりも、同題名である

主題歌を耳にした事がある方がほとんどで

はないかと思います。劇中、ヒロインが

くわえタバコでポータブル・レコードプレ

ーヤーを回し、この曲を流して歌う

シーンがあるのですが、趣があって非常に

強く印象に残っています。ヒロインのイリヤ

は娼婦なのですが、底抜けに明るく、街の

人気者。酔いどれで歌い、踊るシーンが

目立ちますが、この中で先ほど少し取り

上げたウゾという酒が登場します。一気飲み

ですけどね 笑 グラスを叩き割っては飲み

の連続です 笑 タイトルでもある日曜は

ダメよとは、イリヤの商売の話で、日曜日は

休みなので客は取らないという意味があり

ます。当店にもこの曲はありまして、あやか

っている訳ではないのですが、日曜日は

当店もお休みしている事もあり、土曜日の

深夜に掛けたりしていますね 笑 休日至上

主義です。因みに、この映画の舞台はピレ

ウスというギリシャ最大の港町です。当時の

街並みももちろん美しいのですが、いかん

せんモノクロですから、想像力をフル回転

させねばなりません 笑 モノクロは趣が

あって良いのですけどね。楽しみ方がまた

変わってきます。

さて、今回はメタクサとギリシャについて

少し触れました。私の勝手な解釈ですが、

メタクサとウゾという、この国を代表する

酒の流通の推移を、経済復興の指標にして

います。ギリシャは数年前に破綻しています

からね。他人事ながら心配です。何でも、

公務員の数が多過ぎたのが原因とか、、。

これはお国柄としか言いようがありません

が、私たち日本人のように、狭い中で

あくせくと働き、格差社会に埋没していく

国とは考え方そのものが違うのかもしれ

ませんね。ともあれ、メタクサはまだ健在

です。ただ、いつまで飲めるかはわかりま

せん。お早めにどうぞ。では、また、、

 

ウゾですね。今回はあまり触れません

でしたが、またの機会に。

 

スプートニクの恋人

日曜はダメよ