月別アーカイブ: 2022年10月

a piacere(ア ピアチェーレ)

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋と。秋が

深まりを増すと何かと食指が働きませんか。

今回、極めて恣意的にオーケストラを拝聴して

参りました。秋の高い空を眺めていたらいい音楽

が無性に聴きたくなったのです。手当たり次第

に探して辿り着いた曲目はみんな大好きベートー

ヴェンの交響曲第7番とそれに付随して8番。

私、実は7番をライブで聴いたことがなかったん

ですよね。あまりに有名な楽曲なので耳にする

機会が多いため、聴いた気になっていたのですが、

振り返ってみれば、ベートーヴェンのシンフォ

ニーは5番、9番しか経験しておりませんでし

た 笑 これはもう渡に船ということでチケット

を即購入。何せ締切日当日だったので末席も末席。

奥まった角の席を確保。まあ、それでも良いの

です。今回の私のテーマはア ピアチェーレ

(自由に、気ままに)ですから。下準備はなし。

たまさかに聴きたくなって、たまさかに席が取れ

て。あとは流れに任せてみる。そんな日もあり

ます。

さて、やって参りました。サントリーホールです。

コロナ禍もあり、ライブコンサート自体控えて

おりましたので随分とご無沙汰してしまいました。

最後に訪れたのは2014年か15年か。テニス

仲間の所属する楽団が開催した、これもまたベ

ートーヴェンの9番でした。

前説が終わり。楽団とコンサートマスターが揃う

と、速やかにチューニングが行われ、拍手と共に

コンダクターが入場し、間もなく交響曲8番の

演奏が始まりました。

今回指揮を取ったのはこの方。ピエタリ・インキ

ネン。オーケストラは日本フィルハーモニー交響

楽団です。インキネンさんはフィンランド出身の

ヴァイオリニスト。シベリウス音楽院にて学びを

深めたこともあり、演奏会ではシベリウスの曲を

指揮することが多いようです。現在は日フィルの

首席指揮者を務めています。私は今回演目だけで

チョイスしましたので、ほぼ場当たり的に聴かせ

て頂きましたが、普段シベリウスをなさっている

だけあって、7番8番共にとてもダイナミックに

指揮を取っていらっしゃいました。

演奏は8番を終え15分の休憩ののち、メイン

である7番の演奏に入ります。まずは長めのテュ

ッティ。一斉演奏から壮大に始まります。正直。

第一楽章は私好みの演奏ではなかったのですが、

第一楽章序奏から主題に入る手前に私の一番の

お気に入りパートであるフルートのソロがある

のですが、このパートを女性が担当なさっていて

くれたおかげで何とかモチベーションを維持出来

ました。こちらのパート。私は勝手に

〝小鳥のさえずり〟と呼んでいます 笑 静まり

返った場内にフルートの繊細な音色が響きます。

とても可愛らしいパートですので、出来れば女性

に。というのが私の個人的な願望です 笑

第一楽章は一貫してキャッチーなメロディライン

ですので、ドラマや映画にアニメでもよく使われ

ています。やはり爆発的に有名になったのは

『のだめカンタービレ』なのでしょうが、私の中

で印象が一番強いのは、SFアニメの金字塔。

『銀河英雄伝説』ですかね。銀英伝では第一楽章

だけではなく、第二、第四楽章も使用されており

ますので、非常に印象深いのです。あの壮大な

宇宙艦隊戦との相性は抜群でしたね。心が躍り

ます。

ノリの良い第一楽章を終え、曲は一転してメラン

コリックな第二楽章へと移ります。アレグロ(速

いテンポ)かアレグレット(やや速いテンポ)で

指揮者によって異なるらしいのですが、今回の

演奏は私の耳が確かなら、アレグレットであった

と思います 笑 しめやかに、まるでレクイエム

のような曲調ですから、速くする必要はないと

思うのですが。諸外国では葬儀でも使われていたり

するようですからね。こちらの楽章は管楽器の

フェードアウトで締めます。この辺りからオーケ

ストラにまとまりが出来てきました。第一楽章は

少し残念でしたからね。造詣が深い方達なので

しょうね。私の席の両サイドが深いため息を何度

も吐いていましたから 笑 まあ、仕方ない 笑

そして曲は再び一転して華やかな第三楽章へと

入ります。所謂、スケルツォです。速さはプレス

ト(極めて速く)で三拍の速いテンポに加えて

スタッカートの主題が続き、強弱の付け方や

休符の入り方が変わっているので飽きずに楽しめ

ます。独特の休符で唐突に終わり、一呼吸おいて

ダンサブルな第四楽章が幕を開けます。この楽章

はベートーヴェンが泥酔して作ったのでは、と

噂されるほど、力強く、激しい曲調なのです。

ロックであると評されることが多く、速さは

アレグロで、更にコン・ブリオ(元気よく)で

演奏されます。途中、短調に変わったり、

音が飛び跳ねたりと曲の表情の移り変わりが激し

く。とにかく、速いテンポで反復反復ですから、

こちらもヘッドバンキングが止まりません 笑

あの聴き手を巻き込むグルーヴ感はもはやクラ

シックの範疇を超えています。渋面を作った両

サイドの間で私だけ頭を振っているという奇妙な

絵面の中、演奏は文字通り大団円を迎え、大喝采

で幕を下ろしました。私は〝小鳥のさえずり〟を

奏でてくれたフルート奏者の女性を目で追いなが

ら席を立ち、この日一番の感動をくれた人物へ

黙礼し、会場を後にしました。

さて、演奏会が終われば腹ごしらえです。斜向か

いのカフェへと駆け込みました。ランチタイムが

終わってしまうからです 笑 この場所には以前

、オーバカナルというチェーン展開しているブラ

ッスリーが存在したのですが、どうやら2018

年に閉店したようですね。サントリーホールでの

演奏会の後は大抵の場合、オーバカナルで田舎風

テリーヌとスプリッツァで一杯やりながら演奏会

の余韻に浸っていたのですが残念。画像のカフェ

は同じ場所だからと、ほとんどルーティンように

吸い込まれました。スプリッツァを啜って一息

吐くと。演奏会の余韻が押し寄せてきます。

ベートーヴェンの交響曲には随所に対話が見受け

られます。7番だけではなく、6番(田園)など

が良い例でしょうか。私が感銘を受けたフルート

のソロパートにも、弦楽器との対話が用意されて

いて、旋律を掛け合いながら曲が進んでゆきます。

そう。まるで会話を楽しんでいるように。ここに

音楽の真髄をみます。音楽とは会話。曲を作る人

がいて、それを奏でる人がいる。我々はその方達

の声を、楽器を通して耳にし、話したければ賛辞

を与えて気持ちを伝えればいい。簡単なことなん

です。

つい考え込んでしまい。時計を見ればいい時間

です。この日は土曜日でしたから、私は仕事です。

小忙しく会計を済ませて外に出ると、気持ちの

良い風が体をすり抜けてゆきます。久々に気負う

ことなく良い時間を作れたことに大変満足しまし

た。皆さんも是非、空いた時間に忘れていた自分

らしさをもう一度見つけてみてください。堅く

考えず、思うがままに。そう。ア  ピアチェーレ

で。では、また、、

感染対策で発声が禁止されておりましたので

今ここで。Bravo!

ロジャー・フェデラー引退。

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

随分と涼しくなってきましたね。過ごしやすい

のは良いのですが、季節の変わり目特有の体の

ダルさに見舞われている今日この頃です。

さて、唐突ですが、皆さん、ロジャー・フェデラー

というプロテニスプレイヤーをご存知でしょうか。

お客さまの中にはお話している方もいるかと思い

ますが、わたくし、プライベートでテニスを少々

嗜んでおりまして、そこそこ長く続けております。

そして先月、プロキャリア23年という長く鮮烈な

テニス人生にピリオドを打った彼を、心から敬愛

する信仰者の一人です。ロジャー・フェデラーと

いう名は、テニスに精通する者なら誰でも、いや、

テニス界にとどまらず、どこかで一度は耳にした

ことがあるのではないでしょうか。4大大会

(グランドスラム)のシングルスで20勝。

世界ランキング1位最長連続記録237週を

成し遂げたフェデラー史上最高のテニスプレイ

ヤーの一人とみなされています。しかし、

個人としましては、フェデラーの存在はその昔、

日本野球の王と長嶋に例えられたように、記録

よりも記憶なのです。もちろん全盛期の王さん

のように、世界記録更新という偉業を達成すれば

記録として後世に語り継がれることは間違いあり

ません。ですが、記録は王さんほどではないに

せよ、長嶋さんのウィットに富んだ記憶に残る

エンターテイナーとしてのプレイスタイルも、

それこそまさに永久に不滅です。これはプロの

アスリートとしてはとても大事なことです。所謂、

ヒーロー性というものを持っているかどうか。

記憶に残る名シーンをどれだけ残せるかどうか。

国民的な名選手ともなれば、一躍時の人となり、

その経済効果や思想は世界へと波及して、多くの

人々に様々な恩恵をもたらします。三十半ばから

始めたおじさんテニスプレイヤーの私にとって、

ロジャー・フェデラーは第二の青春のヒーロー

でした。そして彼が多くの人々のヒーローである

という理由ははっきりと数値化されています。

強ければいいという訳ではないのです。フェデ

ラーのグランドスラムでの勝利数は歴代3位に

なるのですが、この戦績が史上最高とはいかない

ものの、注目すべきはそのプレイスタイルなの

です。フェデラーはオールラウンドプレイヤーで

攻撃型の選手ですが、攻撃型の選手に多く見ら

れるアンフォーストエラーの数が、他の攻撃型

選手より、圧倒的に少ないのが特徴です。アン

フォーストエラーとは、簡単に言うと自滅型の

失点のことです。つまり、この数が少ない攻撃型

の選手は攻撃の成功率が高いということになり

ますね。世界で活躍するプロ同士の戦いではそう

簡単にエースは取れません。そこを取っていくに

は、針の穴を通すような、鋭くそして正確なショッ

トが必要になってきます。まあ、あれですよ。要

は必殺技の決まる確率が異常に高いわけです。

ヒーローといえば必殺技ですよね。これは万国

共通。老若男女も問いません 笑

日本では2018年のユニクロとの契約が話題を

呼びましたね。彼がユニクロのテニスウェアを

着てウィンブルドンでプレーしているのを初めて

目にしたときは、非常に気恥ずかしかったのを

覚えています。長年連れ添ったナイキという、

スポーツ界においては絶大な知名度と実績持つ

スポーツブランドを断ち切り、低価格競争に

奔走する日本の衣料メーカーと手を組むなど、

予想外にも程がありました 笑 フェデラーは

スイス出身ということもあり、高級腕時計メーカー

のロレックスとも契約しています。そんなセレブ

リティなイメージが払拭されて、彼を身近に感じ

ることが出来た反面。ユニクロのロゴが神聖な

芝生のコートで妙に浮いている気がして、日本人

としてそれが誇らしくもあり、照れ臭くも思えた

のです。

ちなみに、この大会は準々決勝で格下の選手に

あっさり敗北しました 笑 ユニクロよ、、。

そう思われてしまっても仕方がないのですが、

この頃フェデラーは絶不調でしたからね。準々

決勝まで進めただけでも御の字。そう。絶不調

といえば、こちらの画像でも確認出来ますが、

フェデラーがウィルソンの公式プロフィールには

ない謎の黒いラケットを使っている、とこの頃

噂になっていました。勝てない時期が続き、謎の

黒いラケットを使い、膝の痛みを訴えたのもこの

頃だったと思います。膝の問題は結局引退まで

引きずることになりました。この年。年初めの

全豪オープンで盟友のナダルと決勝を戦い、激戦

の末、見事勝利。2018年のこの勝利がグラン

ドスラム最後の優勝となったのです。

ラケットの話が出ましたので、私のコレクション

の中から二つ抜粋して紹介致します。まず上の

画像がウィルソンの n six one 95。フェデラーが

一番強かった時代。2004年〜06年のフェデ

ラーモデルのラケットですね。もちろん下位互換

です 笑 しかし、この頃私が超の付く初心者

でしたので、少し使いましたが、やはり腕前と

見合わず、直ちに初心者用のオーバーサイズに

切り替えました 笑 そしてその数年後。下の

画像のラケットが、ウィルソンの K SIX ONE TOUR

90。これは下位互換ではなく、フェデラーモデル

ですね。何を勘違いしたのか実践して使おうと

思っていたらしく、しばらくの間テニスの際に

持ち歩いていましたが、やはり名器は私を選んで

はくれず。徐々に眼福専用のラケットとなって

ゆき、今では自室のクローゼットの隅でひっそり

と時を重ねています 笑

そしてこちらが今でも愛用しているヘッドの

speed mp 2016。中級者向けですね。理想と現実の

狭間で活躍してくれた優れものです 笑

話が逸れましたが、画像はフェデラーの家族です。

母のリネットや妻のミルカ(元プロテニスプレ

イヤー)も枠に収まっていますが、やはり注目

すべきは最前列の子供達。正面左から女児が二人

に男児が二人並んでおりますが、この子供達。

何とそれぞれが双子です。2009年に双子の

女の子が誕生したときには、ああ、きっと、アメ

リカのウィリアムズ姉妹のようにテニスの道を

歩んでゆくのだろうなと想像していましたが、

その5年後。まさかの双子フィーバー 笑 男子

で双子のテニスプレイヤーといえば、これもアメ

リカのブライアン兄弟がいますが、もし四人とも

テニス界に入門。プロの世界で戦うとなれば、

前代未聞の双子ミックスダブルスが観られるか

もしれません 笑 年の差は五つですからね。

可能性としては充分にあります。残念ながら

年末年始にオーストラリアのパースで開催されて

いたホップマンカップ(男女混合国別対抗戦)

は2019年で終了となりましたが、いずれ何

らかのかたちで観たいものですね。フェデラーの

遺伝子を四通りも期待出来るなど、ファンとして

は夢のようですが、まあ、こればかりは本人達の

意思がありますから、今はただ、健やかに育って

欲しい、それだけですね。

さて、最後になりますが、ロジャー・フェデラー

の引退について私はこう考えます。

〝天才とは努力する凡才のことである〟

これはアインシュタインの言葉ですが、まさに

フェデラーにあてはまる言葉だと思うのです。

数多のメディアでフェデラーについてのコメント

を他プレイヤーや仲間達がするとき、皆口を揃え

てこう言います。「あいつは最高にいい奴だ」と。

天才テニスプレイヤー。孤高の戦士。レジェンド

など。様々な称号やイメージが彼にはあると思い

ます。しかし、根幹は〝最高にいい奴〟なのです。

フェデラーの家系はスイスでも中流階級で、けっ

して裕福な家庭に育ってきたわけではありません。

テニスは父親のロベルトが趣味で始めたことで

興味を待ちその才能が開花しましたが、御両親

は一度もプロになれとは言わなかったそうです。

若い頃は激情に任せてラケットを何本も叩き折り

ました。2000年にはシドニーオリンピック

で同じスイス代表であったミルカに恋をして一途

に愛し、子宝にも恵まれました。そう。振り返っ

てみても至って平凡なんです。もちろん巨額の

賞金を稼いできたわけだし、常人が体験できない

世界を見てきたのでしょうけれど、仲間達には

最高にいい奴と評され、若さに任せて怒りを露わ

にし、恋をしたら一直線で一途。そう。普通なん

です。素朴で愚直。しかしただ一つ非凡であっ

たのが、弛まぬ努力とそれを無駄にしない強い

意志。〝天才とは努力する凡才のことである〟

平凡な少年は片田舎の街から世界の頂へと上り

詰め。多くの人々に夢と希望を与えました。私

もその中の一人。この20年。どれほど心を

豊かにしてもらえたか言い知れません。

「完璧な旅だった。もう一度やり直したい」

引退試合で彼はこう言い残しました。是非この

完璧な旅を、後塵の選手達に継承してもらい、

テニス界を大いに盛り上げて頂きたい。まだまだ

語り尽くせませんが、今回はこの辺で。

では、また、、

先述した謎の黒いラケットの正体はこちら。

ウィルソン・プロスタッフRF97。

この前のモデルまでが派手な配色だったので

当時は試作品と勘違いした方も多かったよう

です。一旦黒白になりましたが再度黒黒へと

戻されました。理由は〝気分〟さすが王者 笑

 

10月の三連休。

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

今週末の三連休は休日が異なります。

10月9日(日曜日)を営業日とし、翌日の

10月10日(月曜日)を休業日とさせて

頂きます。よろしくお願い致します。

では、また、、