皆さんこんにちは、バー シエールの岡本です。
まだまだ暑いですね。今年の夏は始まりも
早かっただけに、とても長く感じますよね。
さておき、タイトルにもある通り。今回は
映画枠になります。皆さんは『エイリアン』
という映画をご存知でしょうか。1979年
に公開された、アメリカのSFホラームービー
です。只今公開中で、今回テーマにした『エイ
リアン ロムルス』は、一作目であるこの作品
からのスピンオフになります。何とか劇場に
足を運び鑑賞することが出来ましたので、
生誕45周年という長い歴史と、過去作を
振り返りつつ、最新作へのレビューと今後の
作品への希望などを綴っていきます。
リアルの時系列でいえば、それはもちろん
79年の一作目が最古なのですが、スター
ウォーズシリーズがそうであったように、
エイリアンシリーズもまた、途中、過去へと
遡りますので、ここでは、ストーリー上での
時系列に沿って振り返っていきます。
では、まずはこちらの作品から。物語上、
全ての始まりとなった作品『プロメテウス』
。2012年公開。監督はリドリー・スコット
。プロメテウスとは、ギリシャ神話に登場する
男神で、全知全能の神。ゼウスの反対を押し切
り、天界の火を盗んで人間に与えた存在として
語り継がれています。以前、『オッペンハイマ
ー』という映画を当ブログで紹介した際に一
度触れましたね。プロメテウスには、〝プロメ
テウスの火″の他に、人間を創造したという
逸話も語られておりますので、この作品に
とってはうってつけのタイトルであるかと
思われます。肝心の作品の内容については正直
、眠くなります 笑 理由としてはやや少なめ
である戦闘シーンの割合と、非常に短絡的な
特攻シーン(勝手にプロメテウスアタックと
呼称しています。まあ、観て下さい 笑 )。
の影響ですかね。しかしそれでも、エイリアン
を語る上では欠かせない、まさにビギニングに
相応しい重厚な作品となっておりますので、
振り返る方も、初めての方もぜひお見逃しなく。
因みにこの作品の冒頭のシーンはスコットラン
ドのスカイ島が舞台となっています。我々の
業界では、スカイ島といえば、シングルモルト
ウイスキーのタリスカーですから、非常に
印象に残っている作品でもありますね。
続きまして、『プロメテウス』の直接的な
続編ですね。『エイリアン コヴェナント』
2017年公開。監督はリドリー・スコット。
『プロメテウス』から10年後の世界になり、
前日譚(ぜんじつたん)シリーズの2作目に
なります。ナンバリングされていないエイリア
ンシリーズのタイトルには、必ず戦闘の舞台
となる宇宙船の名称が、そのままタイトルと
なっています。そしてその作品を象徴する
文言でもあるのです。因みにコヴェナントとは
、英語で契約を意味しています。この作品で
感じたのは、やはりアンドロイドの存在意義
でしょうか。エイリアンシリーズには、架空の
超ブラック企業。ウェイランド・ユタニ社
(前日譚シリーズの時点ではウェイランド
コーポレーション)が創造した、アンドロイド
が必ず一体以上登場します。そして人間に
とっては、コールドスリープ無しでは到底
成し得ない、長い宇宙の旅に同行し、それ
ぞれがインプットされた役割を果たすのです。
これはエイリアンシリーズを通して本編以外
でもよく耳にする言い回しですが、〝エン
ジニアは人を創造し、人はアンドロイドを創造
する″ ここでいうエンジニアとは、
生殖機能の無い、人間に酷似した、人類や、
モーフと呼ばれる、ある意味このシリーズの
主人公であるエイリアン──。
(巷でよく見るこの子です。)を創造したと
される全ての起源となった種族です。そして、
この言い回しの先に、ここでもまた、生殖機能
の無いアンドロイドです。アンドロイドはエン
ジニアと同様、生み出すことに憧れ、渇望する
のです。その手段として、モーフを使い、創造
し、暗躍し続けていくのです。アンドロイド
から始まり、アンドロイドで終わる。エンジ
ニアの描いた創世記をアンドロイドが再現し
ていく。これがコヴェナントでしょうか。
どうやら興行成績は振るわなかったようですが
、そんなことは全く気になりません。素晴らし
い作品です。戦闘シーンも程よいボリュームで、
モーフの進化の軌跡からも目が離せません。
眠くなりませんよ 笑
ここで初代『エイリアン』になります。
1979年公開。監督はリドリー・スコット。
物語上ではコヴェナントから20年後の
世界になります。これこそSFホラー。世界中
を震撼させた歴史的な傑作といえるでしょう。
「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえ
ない」。このキャッチコピーを生んだ作品で
あり、スターウォーズシリーズと共に、その
後のSFシーンに大きく影響を与えました。
私は初見時まだ幼かったのですが、人間の胸部
を突き破り、産声を上げる化け物(チェスト
バスター)
にはトラウマ級の恐怖を植え付けられました。
戦闘の舞台となった宇宙船ノストロモ号は
外観の割に船内通路などが極端に狭く。
この逃げられない環境というのもまた、けっ
して抗えない死への恐怖の一因となっていま
したね。
本作品は主役を演じたシガニー・ウィーバー
の初主演にして、出世作でもあります。彼女の
スター街道はこの作品から始まったのです。
最新作のロムルスは物語上の時系列では、
一作目と二作目の間に位置しますので、マスト
ではありませんが、ロムルスを鑑賞するのなら
、この作品は履修しておいた方が、より楽しめ
ますよ。
さて、こちらは現在公開中の最新作。
『エイリアン ロムルス』。2024年に
公開。監督はフェルデ・アルバレス。物語上
では、一作目の『エイリアン』から約20年
後の世界になります。ロムルスとは、ローマ
建国神話に登場する双子のラテン人とのこと。
今回は宇宙船というより、宇宙ステーション
になりますか。
いや〜、実に面白い 笑 ナンバリング以外
はスピンオフという枠組みにはなるのでしょう
が。直接的な関わりはないにせよ。一作目の
すぐあとだけあって、アンドロイドやノスト
ロモ号など、ファンの心をくすぐるシナリオ
や演出に思わず笑みがこぼれます。ヒロイン
であるレインを演じたケイリー・スピーニーも
過去作のヒロインと比べてもまったく見劣りし
ていません。エイリアンの主人公は女性と決ま
っていますが、容姿端麗であれば良いというこ
とはなく。まず、タフであること。またはその
ように見せられること。不屈の魂で、生きる
ことをけっして諦めない、そのどこまでも前向
な姿勢が画面を通して垣間見えたとき、人は
感動するのです。そして深い慈愛と強い信念。
守ると決めた人や約束事は守り通す懐の深さを
上手く見せて欲しい。これらが、映画エイリ
アンにおける、ヒロインが演じるヒロイズム
だと私は認識しています。そう。長きに渡り、
エレン・リプリー(シガニー・ウィーバー)が
そうであったように。
私がこの作品で一番印象に残っているのは、
過去作にはついぞ見ることのなかった戦闘
シーンが組み込まれていたことです。例えば
それは、ゼノモーフがどうのとか──。
(巷でよく見るこの子です。)アンドロイドが
どうのとか、最強の兵器がどうのというもの
では全くなく、宇宙であれば自然とあるもの。
忘れた頃に、というのと、絶望感が最高潮の
時点での必殺技でしたので、見事に不意をつか
れました。これはエイリアンの長い歴史の中
でもベストバウトになるのではないでしょう
か。最も注目して欲しいシーンの中の一つ
ですね。まるで少年ジャンプの戦闘シーンを
観せられている(褒めています)ようで、
たぎります 笑 終盤ゼノモーフの大群に
囲まれる辺りになりますか。是非刮目なさっ
てください。ここがピークです(あくまでも
個人的に、、)
『エイリアン ロムルス』は元々期待値が
高かった作品だけに、評価も千差万別になる
だろうとは思います。エイリアン自体。スタ
ーウォーズと同様に、古参の映画会社である
20世紀スタジオをディズニーが買い取った
ことで、もうすでにこの作品からディズニー
臭がしています。少年ジャンプの如きテイスト
の演出もディズニー効果なのかもしれませんね。
そしてまた、やはりドラマ化の話も進んでいる
模様です。ドラマはダラダラと長く続くイメー
ジがありますので、ストイックかつスタイリッ
シュにその精度を維持してきたエイリアンシリ
ーズとはかなりの確率で掛け離れてしまうでし
ょうね。ですが皆さん。ここで制作全般が中止
または破棄されて今後このシリーズの作品が観
られなくなるよりはずっと良いと思いませんか
。私は酒を扱う仕事をしておりますのでこの
あたりの事情については切実に考えてしまい
ます。洋酒も同じだからです。例えば、ラフ
ロイグやボウモア蒸留所の所有権をサントリー
が買い取りましたと。味が変わりましたと。
そりゃ変わりますよ、売れてなかったのです
から。それを訳知り顔で辛辣に批判するのは
簡単です。「昔の方がよかった」そうなのか
もしれませんね。しかし、時代は変わり、その
流れに置いて行かれた場合。結末は一つです。
蒸留所は破綻。終売となった嗜好品は
高騰し続けて、適当に批判してきた面々など
には手の届かない高価な代物と化すのです。
まあ、極端な例を挙げましたが、何が言い
たいかというと、まず、肯定してみませんか。
それだけです。昔の方が良かったは、もう聞き
飽きました 笑 エイリアン ロムルスは
良作品です。私は今後も期待しています。
さて、皆んな大好き『エイリアン2』です。
1986年公開。監督は『ターミネーター』
や、後の『タイタニック』を手掛けたジェー
ムズ・キャメロン。物語上では、一作目の
『エイリアン』から57年後の世界になり
ます。間に『エイリアン ロムルス』があり
ますが、直接的な関わりは今のところなさ
そうですね。この作品は、ホラーというより、
サバイバルアクションと言う方がしっくり
くるような気もします。圧倒的な絶望感や
グロテスクな描写はもちろんあるのですが、
アクション性が強いので、それがホラー要素
を良いかたちで上回っているのです。まあ、
監督の影響が全てですね。『ターミネーター』
の公開が1984年で、その約2年後です
からね。『ターミネーター』のサラ・コナー
と『エイリアン2』のエレン・リプリーは
キャラクターのマインドがとてもよく似てい
ます。それと、『エイリアン2』といえば
、少女ニュートの存在でしょうか。一作目
の『エイリアン』からコールドスリープで
57年もの間眠ってしまったリプリーは、
当時11才であった自身の娘、アマンダ
(アマンダ・リプリーの活躍はこちらのゲームで観られます。エイリアン アイソレーション)
に直接別れを告げることもなく自身より
先に失くしてしまっていたため、ニュートへ
の母性が強く働き、ニュートもまた、天涯孤独
の身であったため、二人は引き寄せ合います。
リプリーはニュートを庇い助けながらの戦闘
を余儀なくされ、
そのスリル満点のシーンを固唾を呑んで
見守るのもまた『エイリアン2』の醍醐味で
しょうか。言わずもがなの大作ですから、
お勧めなどは特にしません。必須科目
ですね 笑
続きまして、『エイリアン3』。1992年
公開。監督は後に『セブン』、『ファイト
クラブ』などを手掛けたデヴィッド・フィン
チャー。物語上では、『エイリアン2』から
91年後の世界になります。この作品は、、
、色々問題ありですねぇ、、。まず、冒頭
いきなりパーティー全滅です 笑 リプリー
が坊主です 笑 エイリアンが犬です 笑
そして本作品の舞台は宇宙ではなく、流刑
惑星フューリー。囚人が収容された監獄の
惑星で、武器が一切ない状況の中、ドッグ
エイリアン(ランナー)との攻防を繰り広げ
ます。火力に乏しいこの環境は、いちおう、
初代『エイリアン』への原点回帰らしいです。
まあ、そんなことは捨て置いて、正直、駄作
です 笑 様々な事情でこうなったようですが
、やはり、気に食わない一番の要因は、『エイ
リアン2』で活躍したニュートの杜撰な扱い
だと思います。いまだに3のアンチのほぼ
全員が同じ理由だと、私は勝手に思い込んで
います 笑 その証拠に、
こちらは未制作に終わった別の『エイリア
ン3』ウィリアム・ギブソン版です。まあ、
一言で言ってしまえば没企画なのですが、
元々こちらが正当な『エイリアン3』らしく
、フリーク達の間では親しまれています。
何故なら、こちらのバージョンでは、『エイ
リアン2』の生存者がそのまま活躍している
から。少女ニュートも。アンドロイドの中で
は一番人気であるビショップも健在です。
どうやらこちらのバージョンでは、リプリ
ーではなく、他のメンバーが活躍し、地球に
生還するようですね。現在では、小説やコミッ
クの他に、オーディオムービーもご覧頂けます。
ただ、日本語版があるのかはどうかは不明なの
ですがね、、。因みに私は未履修のままです
笑 興味のある方は是非。
とはいえ、如何に駄作の呼び声が高い
『エイリアン3』でも、見どころはそれ
なりにあります。四肢を駆使して走り回る
ゼノモーフ──。
(あまり見かけないこの子です)
は目新しいですし、ビショップのモデル
となった人間本体も3には登場します。
そして何より、リプリーが遂に寄生される
のです。苦渋の選択を強いられるリプリー。
さて、どうなるのでしょうか。是非ご覧に
なってください 笑
今のところ。物語上時系列でいえば、こちら
の作品が最後の作品となっております。
『エイリアン4』。1998年公開。監督は
、『デリカテッセン』や後の『アメリ』など
を手掛けたジャン・ピエール・ジュネ。前作
『エイリアン3』から200年後の世界に
なります。
私、エイリアンは3、4と劇場に足を運んで
いるのですが、4のコマーシャルをテレビ
で初めて拝見したときの感情を今でも覚えて
おります。もう、いい加減にしろと 笑
確かに3のラストでは、尻切れトンボで
全く完結はしていませんので、4に続くの
は自然なのですが、3のあの苦い思い出が、、
(気にせずご覧になってください 笑)
では何故足を運んだのか。もちろんストー
リーの続きは気になりました。答えは至って
簡単です。
この方が出演していたからです 笑
ウィノナ・ライダー。『シザーハンズ』の
頃から大ファンでしたからね 笑 なら仕方
ないかと、ほぼ無条件で映画館前に並んでい
ました 笑
『エイリアン4』といえばリプリー8号です。
何と4ではリプリーのクローンが主人公とな
ってエイリアンと対峙します。ウィノナ・ラ
イダーの役どころはコールという、これも
また衝撃でしたが、アンドロイド役です 笑
白い血液が流れていました 笑 しかし、
リプリーについては遂にここまできたかと
いう進化を遂げていましたね。連合軍の実験
により、何度も失敗を重ね、理想の完全体と
なったリプリーは、過去の記憶の一部と共に、
エイリアンと融合したかたちで生まれ変わる
のですが、こちらは色が白いどころではなく
、エイリアン同様、血液は酸です 笑
動機は不純でしたが、『エイリアン4』は
非常に秀逸な作品でしたから、目が離せませ
んでした。リプリー8号ということは、それ
より若い番号も当然あります。8号が自分の
失敗作達と対面するこの辺りのシーンは不思議
と目頭が熱くなります。
戦いの舞台となった医療実験宇宙船オーリガ
号では、こちらも人間と一部を融合し、知性
を備えたゼノモーフの大群が、泳いだり、罠を
仕掛けたりと暴れ回ります。人間の知性が加わ
ることでゼノモーフ──。
(巷でよく見るこの子です)
としては、シリーズ中随一のバトルパフォー
マンスを披露しています。
エンディングは完全版になると少し違います。
以前、何故この場所なのかとしばらく考えまし
たが、あまり深い意味はなく、ジュネ監督が
帰りたい場所であったようですね。因みに、
『エイリアン4』では、あの悪名高き超ブラ
ック企業。ウェイランド・ユタニ社は消滅した
ことになっています。完全版では、その
辺りについてのシーンも盛り込まれており
ますので、気になる方は是非。
最後になりますが、私のささやかな希望
といいますか、夢といいますか。少しお話
をさせて頂きます。上の画像は、前日譚
シリーズで登場した、ウェイランド・ユタニ
社製のアンドロイドであるデイヴィッドになり
ます。『プロメテウス』では、もちろん、
続編の『エイリアン コヴェナント』では
、邪悪な存在感でヒロインを完全に食って
しまっています。『エイリアン コヴェナント』
の冒頭で、ウェイランド・ユタニ社の社長で
あるピーター・ウェイランドから直接刷り込み
を受けたアンドロイドですから、その腹黒さと
野心は底なしです。騙し、奪い、探究し、創造
することを繰り返し、エンジニア達が描いた
創世記の青図を、たった一人で再現、再構築
していきます。『エイリアン コヴェナント』
では、ラストでまたもやヒロインを騙し、
更なる野望へと突き進んでいくデイヴィッド
でしたが、コヴェナントのレビューで前述した
通り、この作品は興行成績が振るわなかった
こともあり、当初前日譚シリーズを5部作で
考えていたリドリー・スコットでしたが、デイ
ヴィッドの野望と共に、沙汰止みとなったまま
現在に至っています。この先を出来れば映画で
観たい! 笑 私のようなファンは多いと
は思いますが、数字とは正直なもので、その
ような希望を持つ者は、まだまだ少数派なの
でしょうね。『エイリアン ロムルス』という
、新しい時間軸が始まった今。この願いは
更に遠のいた気も致しますが、この際ドラマ
枠でも構わないので、いつか鑑賞出来ること
を切に願います。
さて、長くなりましたが、今回は、『エイリ
アン ロムルス』の公開記念と致しまして、
エイリアンシリーズの、絶望に落とし続けた
45年を一気に駆け抜けました。もちろん
『エイリアン ロムルス』の続編に期待は
していますが、当時、一作目の『エイリアン』
から二作目の『エイリアン2』までですら、
7年もの月日を費やしている経緯を踏まえる
と、直ちに、とはいかないのでしょうね 笑
こちらもまた、気長に待ちたいと思います。
では、また、、