ウォッカベースのカクテルで、ブラックルシアンというカクテルがございます。
ロックスタイルのカクテルで、ウォッカとコーヒーリキュールをステアするだけの
いたってシンプルなカクテル。最近なぜかよく注文されるので、今回はこのカク
テルについて語っていきたいと思います。
一番右、ウォッカ(ストリチナヤ)
中央、イリィ、エスプレッソリキュール
一番左、ティアマリア、コーヒーリキュール
当店のブラックルシアンは画像にある酒で作っていきます。
4種類写ってますが、中央の2本は同じものですね。向かって左は
少し前のボトルで中身はもうありませんが、ちょっとした思い入れがあり、
捨てられずにとってあります。すみません、貧乏性なもので(笑)
しかし、この中央の新旧ボトル。味は変わりませんが、新ボトルには
エスプレッソリキュールという表記がありません。これは何故かというと、
イタリアではコーヒーといえばエスプレッソが当たり前なので、無表記で
構わないという、なんとも愛想のない理屈からくるものらしいです。
ですから名残惜しく思い、こうしてとってあるのです。ボトルの形状も
旧ボトルのほうが好きですね。なんだか、バベルの塔みたい。
元来、ブラックルシアンはウォッカとコーヒーリキュールのみで構成された
カクテルですが、当店の場合、コーリーリキュールのほかにこのエスプレッソ
リキュールを少し加えます。3対1の割合ですね。やはり苦みが特徴のエスプ
レッソですから、酒も苦みが利いてます。ウォッカとこのリキュールだけでも
いけますが、やはりそこは商品なので、味のバランスを考えてこのかたちに
おさまりました。少し苦みがあるのがおいしく、そしてお洒落なのです。
コーヒーリキュールは昔からティアマリアを使っています。当店にはカルアが
存在しません。カルアミルクはやはりよく注文いただきますので、置いておいたが
ほうが商売的には有利なのでしょうが、置きません。何故なら、嫌いだからです。
カルアファンの皆さま本当にすみません。昔、とあるバーのマスターさんと
こんな会話をしたことがあります。
マスター:「え、なに、カルアないの。よく頼まれるでしょ」
私:「頼まれるね。いちいち説明するのが面倒」
マスター:「じゃあ、置けばいいのに」
私:「置かない」
マスター:「なにそのこだわり。もっとほかに使ったら?」
私:「置かない。安っぽい合コンみたいだから」
マスター:「いいね」
私:「いいでしょ」
もはやコーヒリキュールの代名詞であるカルアは当店にはございません。
なんか、甘くておいしいですよね、あれ。しかし、ティアマリアのおいしさは
大人のおいしさです。大人の甘さです。と、まあ、余談が長引きましたが、
本題に戻しますと、当店のブラックルシアンはビルドスタイルではなく、ミキシン
ググラスでステアしてからオールドファッションドグラスに注ぎ、最後に削出しの
氷塊を沈めます。この処方が一番ベストな状態でお客様の手元にカクテルを届ける
ことができます。モアクール、モアビューティ。似たようなレシピのカクテルがた
くさんございますが、すべてこの処方、この精神で提供しています。だらだらと
書き綴りましたが、当店のブラックルシアン。一度お試しになってみてください。
葉巻にもよく合います。では・・