月別アーカイブ: 2021年11月

月島もんじゃとフレンチ・モスコミュール。

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

日差しは強くても風が冷たく感じるこの季節。

昼夜の温度差が激しいので着る物に困ってしま

いますよね。さて、冒頭を飾った画像の通り、

今回は月島にお邪魔して、もんじゃストリート

を探索して参りましたので、ほんの少し、

もんじゃ焼きについてお話させて頂きます。

皆さん、もんじゃ焼きはどれくらいの頻度で

召し上がりますか。大抵の場合、お好み焼きと

合わせて頂く事が多いでしょうか。私にとっての

もんじゃ焼きはツマミです。そもそもこれで腹を

満たそうとは考えていないので、具材については

ツマミになりそうな物なら何でもといった選び方

になります。小さなヘラでおこげを剥がしながら

ちびちびと頂くもんじゃは、酒の友としても

最適です。ビール、酎ハイ、ハイボールにワイン。

日本酒も冷、燗問わずに楽しめます。そもそもが

駄菓子ですから、ジャンクフードとして考えれば

より一層、酒のアテとして楽しめるのです。

さて、今回お邪魔したのは、路地裏もんじゃの

店。もん吉さんです。私、路地裏を歩くのが趣味

でして、たまさかに通りかかったところ、どうやら

有名店だったようで、著名人の写真が壁面いっぱい

に飾られていました。ですが、こちらを選んだ

最大の理由は喫煙が可能であったからなので

悪しからず 笑 もんじゃはツマミ。酒を呑みに

来たので、煙は欠かせません 笑

この日はもんじゃのみの注文になりました。

月島くんだりでお好み焼きもないだろうと、

もんじゃを数品。画像は土手鍋風牡蠣のもんじゃ。

焼く事に疲れて店の方に頼んでみれば、大粒の

牡蠣が二つ。画像に収める前に木っ端微塵に 笑

土手鍋風なので味噌が利いている訳ですが、出汁と

相まって深みのあるいいお味に。調味料は一切

使わずに、満遍なく混ぜ合わされた牡蠣に舌鼓を

打ちました。

もんじゃに満足してからはふらっとスタンディング

バーへ。今回はアトリエバー ティンさんへ

お邪魔しました。

シンプルで飾り気のない店内は私好みです。

こちらでアイラモルトのハイボールのあと、つと

メニュー黒板に目をやると、フレンチ・モスコ

ミュールとありました。聞き慣れないカクテル

だったのでマスターさんへ尋ねてみると、

門前仲町や月島でここ最近推進しているカクテル

で、ブランデーベースのモスコミュールであると

の事。モスコミュールはモスクワのラバという

意味があり、モスコはモスクワですから、

ロシアの名産であるウォッカがベースになります。

ブランデーはフランスの名産ですから、フレンチ・

モスコミュールとなった訳です。

モスコミュールの定番である銅製マグカップに

生生姜が爽やかに香ります。ブランデーが

ベースという事で、ライム果汁からレモン果汁へ

変えてありますね。これはコストも含めて妥当で

あるといえます。ブランデーのカクテルはどうして

も少し高額になってしまうので、多くの方に提供

しにくいからです。皆さん、ライムって高いんで

すよ。ご存知でした? 笑 それに、ブランデーに

はレモンの方が合います。辛口のジンジャーエール

と生生姜の相性も良く、バランスの取れた

とても美味しいカクテルでした。ご馳走様でした。

という訳で───。

フレンチモスコミュ-ル  ¥1,300

当店も勝手に仲間入りする事に致しました 笑

これまでモスコミュールの生姜はジンジャー

シロップに頼ってきましたが、これからの寒い

時期に向けて、更に生生姜を加えてのご提供と

なります。生生姜は寒さが続く間はホットカクテル

としてもお出ししていますので、皆さんも是非

お試しください。

さて、今回は月島に赴き、まったくタイプの

違う店をハシゴしました。この日、私は酷く

二日酔いだったのですが、迎え酒としては上々の

仕上がりでした 笑 では、また、、

ゆっくり渡ってください^^

そろそろ触れてみる① いいちこポスター。

 

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

季節の変わり目。寒かったり暑かったり、

空模様も移ろいやすい時期に差し掛かりました。

ここから年末まであっという間ですからね。

世の中に置いていかれないように気が急って

いる今日この頃です。今回はコロナ禍が

本格化を迎える前に書き掛けていたブログ

の中からチョイスして上げていきます。

 

さて、皆さんは駅のコンコースなどでこの

ようなポスターをご覧になった事があるで

しょうか。

そう。下町のナポレオンこと、麦焼酎いいちこの

広告ポスターです。大衆居酒屋などではお馴染み

となったこちらの銘柄は、大分県の酒造メーカー。

三和酒類株式会社の主力商品で、1979年から

販売している古参の麦焼酎です。私も居酒屋など

では随分とお世話になりました。老若男女問わず

、国民的な酒の一つではないでしょうか。

酒が売れる理由は大きく分けて三つ。まず第一に

品質。これは酒に限りませんね。安かろうが高かろ

うが消費者はまずここを求めます。第二に価格。

これは品質と密接していますが、安ければいいと

いう問題でもないのですよ。払って満足の人種も

多くおられるので。そして第三にして、最も大切

な要素は広告です。

酒は皆さんご承知の通り嗜好品です。一部の方を

除いては、摂取しなければ生きていけないという

訳ではありません。だからこそ、秀逸な広告が

活きてくるのです。飲酒意欲をひたすら掻き立て

る広告もあれば、抽象的に商品を引き立てる

ものもあります。今回触れたいいちこの広告は

後者に当たりますね。

こちらは1984年に駅構内に初めて貼り

出された広告です。ストーリーではなく、

ストーリィなんですよね。なんか良い 笑

アンティーク調のテーブルに洋風なグラス

や調度品が絶妙な位置間隔で飾られ、中央に

はいいちこ本体。脇から照らすスタンドの

ネック部分がとても綺麗に湾曲していて、

この作品全体のバランスを上品にまとめてい

ます。そして何より、いいちこポスターと

いえば繊細な文言と美しい写実的な画像と

の融合です。この作品の場合、広告の世の

中だけど、というのは、まさに当時の世の

中で、噂で飲まれる酒がある、というのは、

この企画の当初からのコンセプトで、営業

活動を一切してこなかった三和酒類と、

この企画を全権任されたアートディレクタ

ー。河北秀也氏によるイメージ戦略で、

広告をするのではなく、デザインするとい

う信念に掛けてある文言かと思われます。

こちらは初作品なので、かなり具体的に

表現されていますが、これより先、現在に

至るまで、文言は驚くほど広告の意思が

無く、いいちこを探せと揶揄されるほどに、

いいちこ本体が小さく、画像の中から見分け

にくくなっており、その作風はみるみるうち

に抽象化を極めていきます。

これら4つの作品は、春夏秋冬で且つ、

いいちこを探せに該当する作品を選んでいます。

この回の終わりに答えを載せておきますので

擬態化したいいちこを探してみてください 笑

今回はいいちこポスターをフィーチャーして

おりますのであまり触れませんが、いいちこ

のテレビCMもまた歴史が長く、関わった

アーティストや芸能人も強く印象に残っています。

ビリーバンバンに坂本冬美さん。最近では

ゴールデンボンバーやムロツヨシさんなども

出演していますね。特にビリーバンバンの、

また君に恋してるは、坂本冬美さんがカバー

して大ヒットを記録しましたね。これらの

テレビCMもポスターと同様に、アートディレ

クターである河北秀也さんが手掛けています。

作品のコンセプトや世界観などは基本的に

ポスターと変わりません。ただ、ここ最近はもう

ポスターと比べて時宜に適ったキャスティング

や時事ネタが多いように思われますので、私は

昔からスタンスを変えないポスターの方が圧倒的

に好みではあります。YouTube などで鑑賞できます

ので、興味のある方はご覧になってみてもいいかも

しれません。どれも趣があって胸に沁みますよ。

いいちこテレビCM

さて、最後は私のお気に入りの作品を2点

ご紹介させていただきます。ポスターは毎年、

月毎に変わっていくのですが、この2点は

4月と8月の作品だったかと思います。上の

作品はもう、見たままですね 笑 桜にいいちこ

が舞っています。この作品。珍しくいいちこが

3本も写っています。そしてどれも開栓してある

ので、花見の季節の大宴会を連想させますよね。

3本も空けてやったみたいな 笑 まあ、これは

これで良いのですが、個人的には開栓していない

状態で舞って欲しかった 笑 桜に舞ういいちこ

がよりフレッシュに見栄えし、ポップな作品に

仕上がったであろうと容易に想像出来るからです。

開栓してあると、大トラどもの乱暴な振る舞いを

思い浮かべてしまうし、放り投げた時の掛け声まで

もが聞こえてきそうなのです 笑 まあ、こちら

の作品は1986年4月の作品ですから、バブル

真っ只中という時代背景があるし、景気が良さそう

というだけではなく、ギリギリのところで舞って

いる3本にピントを合わせてある技術に感服した

ので、気に入ってはいますけれどもね。色合いも

鮮やかですし。

そして下の作品は8月の作品です。荊(いばら)

の寓話とありますね。まず寓話とは、主に教訓を

他の事柄から例える物語のようなもので、イソップ

物語や、日本でいうところの日本昔ばなしが

これに当たるでしょう。荊とは棘のある小木の

総称になりますが、荊の寓話となると、苦難に

満ちたストーリーしか見えてこないですよね 笑

こちらの作品は2017年8月の作品です。

アートディレクターである河北さんは、時折

社会風刺を作品に反映させるので、2017年

夏頃の世の中の動きが気になりますが、そこが

わかったところでこの作品に対する私の印象は

大して変わる事はないでしょう。とにかく、時代

なんですよねぇ、、。嬉しい楽しいだけで飲食

する時代ではないのです。人々はコストパフォ

ーマンスを求め、常に財布と相談。ブラック

企業だのパワハラだの、時代の互換性がうまく

図れていない現世の仕組み。この作品は、そんな

現実めいた厳しさを喚起させられる一作ですね。

この荊の風景の渇き具合がまた、より一層、

寂寥を駆り立てます。ハッピーエンドの映画だけ

観ていても頭がすっからかんになるだけです。

時には現実と向き合い、シリアスな映画を観る

事で見えてくるビジョンがある。涙を流す事で

癒されるカタルシスもある。荊であろうが薔薇

色であろうが時間だけは平等に流れます。

このサボテンはそれでも生きているのです。

強さって一体なんだろう。私にとってそう思わ

せてくれる作品ですね。

さて、今回はそろそろ触れてみるをシリーズ化

してみようと試みましたが、次回があるかは

わかりません 笑 皆さんも是非、いいちこ

ポスターの魅力に触れてみてください。

では、また、、

いいちこポスター

いいちこを探せ。

文言のあたりに配置されているとわかりやすい

ですね 笑

今年の8、9、10月の作品ですね。

コロナ禍で休業中、気持ちを穏やかに

してくれました。是非、出来るところまで

続けて欲しいものです。