皆さんこんにちは、バー シエールの岡本
です。今回のカクテルはこちら。
CD No.33 フレンチ75
75という数字は、第一次世界大戦時
に使用していたフランス軍の大砲の口径
を意味しています。ジン・フィズのソーダ
をシャンパンに置き換えた贅沢なカクテル
ですが、画像のように、時代や作り手の
考え方でカクテルのスタイルが大きく
変わります。ちなみに、フィズとは、
以前クーラーで触れたように、カクテル
における一つの様式です。ベースがあり、
レモンジュースと砂糖やシロップをシェ
イクし、ソーダで満たします。クーラー
との違いは、クーラーは炭酸系の飲料を
使用しますが、フィズはソーダ使用時
のみを呼称します。グラスの大きさなど
もありますが、この点が一番の相違点と
なりますか。フレンチ75はこのソーダ
をシャンパンでお作りするのですが、
画像のように、氷を詰めてタンブラー
で作るのか、フルートシャンパングラス
で氷を詰めずに作るのか、このあたりは
飲み手や作り手の好みになります。
昔ながらのスタイルは前者になります。
フルートシャンパングラスの方は比較的
ニューウェーブのスタイルでしょうか。
”贅沢なジン・フィズ” 駆け出しの頃に
そのように覚えました。シャンパンと
は特別で、まさに泡沫の夢。一瞬で弾け
る幸福感を味わう美酒でした。しかし時
は経ち、シャンパンの価値は下がって、
一旦は庶民がデイリーに抜栓出来る大衆的
な酒へと移ろいましたが、ここ十数年で
また、酒税や物価高の上昇により高級な
酒へと返り咲きました。シャンパンと
いえば強い発泡性。それが失われれば
途端に無価値な酒に変貌します。泡沫の
夢とはそういうことなのです。抜栓して
からの寿命があまりに短い。だから
こその価値。だからこその尊さ。シャン
パンベースのカクテルが高額なのは
このような理由があります。贅沢な
ジン・フィズとは、スタンダードな
カクテルであるジン・フィズをシャン
パンの魔力で珠玉のカクテルへと昇華
させるということなのです。そして昨今
のカクテルシーンでは、ニューウェーブ
である氷の無いフレンチ75が存在しま
す。炭酸は氷に触れると気が抜けて弱く
なります。これは無価値な酒への第一
歩となるわけですが、それでもシャン
パン自体の強い発泡性によって、ロング
スタイルであっても成立しています。
氷を詰めないフルートシャンパンスタイ
ルは、よりシャンパンを中心とした
スタイルになります。イメージとしては、
シャンパンにジンを加えた感覚でしょう
か。アイス・インの贅沢なジン・フィズ
を選ぶのか、シャンパンの特性を失わない
シャンパンベースのカクテルを選ぶのか。
迷ったときはバーテンダーに相談なさっ
でください。無論、どちらもお勧めです。
:レシピ(当店)
・ フレンチ75
ドライジン 35ml
フレッシュレモンジュース 10ml
シュガーシロップ 1rsp
シャンパン 適量
シェイクして、タンブラーへ注ぎ、
氷を詰めてシャンパンで満たし軽く
ステア。
では、また