最新情報

天皇誕生日。

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

2月23日(日曜日)の天皇誕生日は、19時〜

01時まで営業致します。翌2月24日(月曜日)

は、休業日になりますので、よろしくお願い致し

ます。では、また、、

奏 Kanade 〜ジャパニーズクラフトリキュール〜

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

2月も半ば過ぎ、寒いんだか、暖かいんだか、凄ま

じい温度差で日々が過ぎ去っていきますね。飲まな

いとやっていられません 笑

さて、ここ近年、日本ではクラフトブームですね。

ウイスキーやビール、ワインを始め、ジンやウォッ

カまでと、着々とその幅を広げています。ただ、

正直、クラフトを付ければ何でもよくなってきてい

る感がありますよね。それと、勘違いしてはならな

いのが、クラフトとは、国産という意味ではないと

いうこと。クラフトとは、簡単に云うと手作りの

製品という意味合いがあります。そう、国産といえ

ば、常日頃思うのが、国産の物に愛着や安心感を

感じるのはわかります。しかし、国産であっても

日本人の口に合わない物はありますし、衛生面でも

同じことがいえると思います。私としては、良い物

は良いとしたいので、国産だとか、クラフトという

言葉の魔力に惑わされずに、その本質と潮流を見極

める努力をしているつもりです。まあ、つもりです

から、よく空回りますけどね 笑

前述した通り、クラフトとは手作り製品の事です。

これって、この流れがやってくる前から当たり前の

ようにやってきた職人さんたちに失礼ですけどね。

クラフト、クラフトって、枕詞のように出回って

ますけど、どの分野でもいえることは、当たり前で

あるということ。量産化が進み、ラインに乗って

しまえば品質は落ちます。これも当たり前。ただ、

言霊って凄いですよね。当たり前に名前が付くと、

途端に本格派としてカテゴライズされます。

ですが、さんざっぱらに貶しておいて、この度、

当店にもクラフトがやって参りました 笑

タイトルや画像にもあるように、奏(かなで)とい

う、サントリーが開発したジャパニーズクラフト

リキュールです。そもそも、この手の和素材リキュ

ールは今まで、ドーバー洋酒貿易会社という酒造

メーカーの独壇場でした。

このラベルをバーやデパートのお酒売り場で見かけ

た事がある方も少なくないはずです。和素材リキュ

ールという分野では、草分け的、且つ、唯一無二の

存在でした。サントリーのヘルメスというリキュー

ルシリーズもありましたが、力の入れようが違う印

象でしたね。

実はこの奏というリキュール。開発に携わった方か

ら製造の進捗状況を聞きかじっていた事もあり、

興味がありましたので、サンプルで味の方は確認

していました。ファーストリリースで、柚、抹茶、

白桃。少し遅れて桜が加わったので、現段階では

4種類になりますね。これ、本当に美味しいです

よ。欲を言えば、抹茶にもう少し強めの香りが欲し

いところ。それでも開発者の手作り感がきちんと

伝わってくる、クラフトの名に恥じない酒だと私は

思います。当店でも、ショート・カクテルやロン

グ・カクテル。ロック・スタイルにワインを使った

キール・スタイルなど、様々なスタイルのカクテル

を用意しておりますので、是非お試しになってくだ

さい。では、また、、

 

 

恋と酒場とオキ・シロー。恋愛編。

───女は冷たいギムレットをそっと傾けた。

ジンの混じり合ったライム果汁の酸味が口いっぱい

に広がり、やがて冷たくのどを刺激しながら流れ落

ちていく───。

ああ、やはりちょっと酸っぱすぎる。わたしには

ライムの酸味がきつすぎる。

───そういえば彼、ここのギムレットに似てい

る。刺激的で、鋭角的で、、、、、、。それに、こ

のフレッシュ・ライムのように、活きがよくて若

い。女は酸味のきついギムレットをすすり

ながら、男の健康そうな白い歯並びを思い出して

いた───。

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

冒頭からいきなり引用させて頂きましたが、今回は

オキ・シローという、主に80年代半ばから90年

代初頭にご活躍なさった、掌編小説作家のお話を

していきます。

語り継いでいかなけれなならない。私にとって、

常日頃そう思っていた作家の一人です。バー業界に

長く携わっている人間ならば、一度は耳にした事が

ある、著名な作家の一人ではないでしょうか。

オキさんを一言で云うならば、机上のバーテンダ

ー。これほどバーに終始した小説を書いた作家は

後にも先にもおりません。酒、主に洋酒が多く登場

する小説はいくつもあります。『老人と海』の文豪

アーネスト・ヘミングウェイを始め、やはりハード

ボイルドとの相性が良く、『ロング・グッドバイ』

のレイモンド・チャンドラーや、ボンドマティーニ

を世に広めた『007シリーズ』。国内ですと、

北方謙三氏の『ブラディ・ドールシリーズ』が有名

でしょうか。どれも素晴らしい作品で、やはりそこ

に登場したウイスキーやカクテルはバーでも人気が

高いですよね。これに対して、オキさんの作品は

カクテルが主で、それぞれのカクテルにストーリー

を当てて物語を構築していきます。つまり、物語の

中に酒が登場するというよりは、酒を中心に物語が

作られているのです。出版されている作品の中には

エッセイ集などもありますが、やはりオキさんと

いえば、カクテル・ストーリー。粋でお洒落な主人

公達が、一つのカクテルを中心に酩酊し、泣いて

笑って、時には踊ります 笑

私がオキさんの作品と出会ったのは、92年の夏。

バイト感覚から脱却し、ちょうどこの仕事に本腰を

入れた年でした。先輩のバーテンダーから薦められ

た作品は『紐育のドライ・マティーニ』。紐育は

ニューヨークと読みます。ここから読み漁り、ほぼ

作品は網羅いたしました。その当時は私もバージャ

ンキーを自負しており、様々なスタイルのバーを

見て回っておりましたので、オキさんの作品は格好

の触媒となった訳です。まあ、もれなく大虎武勇伝

もついて回りましたけど 笑 失敗の数だけ成長

出来ると頑なに信じて日々精進しておりました。

前述でも触れた通り、オキさんの物語はカクテルが

中心です。ある意味専売特許ではあったものの、

やはり偏った読者にしか需要がありませんので、

その知名度にも限界があり、現在では絶版になっ

てしまっている作品がほとんどです。ですが、趣味

嗜好に関しては、良いものは良い。時代や売れ筋な

ど関係ないが私の信条ですから、カクテルに興味が

あり、読書に免疫があるお客様には未だに薦めて

います。

作風としては、やはりカクテル・ストーリーですか

ら、そのカクテルのイメージをなぞらえた内容が

ほとんどです。ただ、やはりバーが好きなんですよ

ね、オキさんは。バーテンダーとのやりとりや、

酒場によくあるシーンから、独自の解釈で織り成す

ストーリーが抜群に面白いです。舞台は様々で、

海を渡る事も頻繁にありますので、海外でカクテル

を飲んでいる気分にもさせてくれます。唯一こだわ

っている点は、バーが舞台である事。漫画。孤独の

グルメの飲食店のように、必ずバーが登場します。

実在するバーをモデルにしたのがほとんどであった

のでしょうが、ご想像の中だけの舞台もあったはず

です。前回ご紹介したハートカクテルのわたせ

せいぞうさんと同様に、この方もまた、耽美の

求道者であったのでしょうね。現在のように手元に

ネットワークが携帯出来る世の中ではありませんで

したが、そもそも前職がメンズマガジンのチーフ

エディターですから、巷のトレンド情報や持ちネタ

には困らなかったはずです。でも私、バーのトレ

ンドって未だに何だかわかっていませんが、オキ

さんの作品には、不変の格好良さや、色気を感じ

ます。時代の最先端をいく業界にいながらも不変を

貫ける人って貴重ですよね。そういう方達がいない

と、とかく流されっぱなしの世の中ですから。

さて、ここで、オキ・シローの作品の中から私の

独断でチョイスした珠玉のストーリーをいくつか

ご紹介致します。ただし、今回はバレンタインデー

前という事もあり、主に色恋沙汰に偏重する形で

選びました。

『ギムレットの海』ギムレットの海に収録。

冒頭の引用先のストーリーです。舞台は日本。逗子

か葉山あたりの海辺でしょうか。結婚とは縁遠い

女性が、年下の男性に、同棲をするだけでも、と

決断を迫られます。彼女は、不慮の事故で亡くなり

過去に関係のあった、年上で懐の深い男性と、現在

付き合いのある若く血気のあるその男性とを、ギム

レットの酸味に例えて比べ、苦悩します。ギムレッ

トとはジンとライム果汁のショートカクテルです

が、そもそもライムが日本に入ってきていない時代

にはライムシロップで代用していました。その頃の

名残で、甘味のあるギムレットと、現在の主流で

ある酸味の強いギムレットが新旧一体となって、

今でもバーテンダーのさじ加減を試される悩みの

種となっています。男に媚びない魅力を持ち合わせ

た女性ですが、好みのタイプはきっと、飲みやすい

甘味のあるギムレットですね。けれども、切れ味が

良く、真っすぐにぶつかってくる酸味の強いギムレ

ットも彼女にとっては捨てがたいのでしょう。沖釣

りに興じていた男が、彼女からの最後の返事を求め

て海から戻ってきます。彼女は果たして、どちらの

ギムレットを選ぶのでしょうか。

カクテルを擬人化させてここまで綺麗にまとめる

あたりがオキさんらしいです。死別しているから

こそ塗り替えられない過去の男との思い出。年齢差

も手伝って、今の男よりもずっと良物件に思えるの

でしょうね。ですが、押しに弱い彼女はぐいぐい

と攻めてくる行動力がある若い男にも惹かれている

はずです。思い出に生きるのか、今を生きるのか。

主人公の機微を具に描いた、オキ・シローの代表作

の一つです。

『アレキサンダーにご用心』

ギムレットの海に収録。

これはもう大好きですね 笑 バレンタインという

事もあり、チョコレートの原料である、カカオの

リキュールを使ったアレキサンダーというカクテル

のストーリーを選びました。

とあるバーにて、そもそも主人公である男が教えた

アレキサンダーというカクテルを、他の男の隣で

勢いよく呑み上げるヒロインがいます。彼女はプロ

のダンサーで、酒にはあまり強くなく、気を利かせ

た主人公の男が、このカクテルなら甘くて飲みやす

いだろうと薦めたカクテルでした。彼女はいたく

気に入った様子で、景気良くアレキサンダーを注文

していきますが、その場に居合わせた主人公も

含め、そのバーの常連客は皆知っています。その後

に彼女が起こす奇行を。そう。彼女は三杯目のアレ

キサンダーを空けると決まって踊り出すのです。

待ってましたという常連客の歓声の中、やおら立ち

上がってしなを作り、着ていた上着をなまめかしく

隣の男へ放り投げると、いつもの決め台詞。

「マスター。ハーレムノクターンをお願い。サム

・テイラーのサックスで!」

これには痺れます。アレキサンダーといえば、60

年代のアメリカ映画に、ジャック・レモン主演の

『酒とバラの日々』という、アルコール中毒の話を

描いた救いようのない映画があるのですが、バー

業界にいるとこの映画が容易に想起されます。この

映画でも同じ理由で女性にアレキサンダーを薦める

ので、このストーリーは酒とバラの日々のオマージ

ュになるのかもしれませんね。まあ、とにかく

ヒロインの女性が魅力的です。劇中では確か、大き

な舞台のオーディションに立て続けに落ちて、ムシ

ャクシャしていたはずなので、過度なアルコール摂

取で、文字通り劇的に解放されたのでしょうね 笑

アレキサンダーで一杯毎に覚醒していく描写がとて

も秀逸で、元々このカクテルを薦めた主人公が、こ

の女性を落としきれなかった理由と共に、爆弾が

爆発するまでのカウントダウンを見ているようで

とても愉快に思いました。アレキサンダーはブラン

デーがベースになっていて、その口当たりの良さと

は裏腹に、強めの、大人のデザートカクテルですか

らね。まさに、アレキサンダーにご用心 笑

ハーレムノクターンを知らない方は是非聴いてみて

下さい。雰囲気が伝わると思います。世代によりけ

りですが、はっきり言ってしまえば、日本では

ザ・ドリフターズの加藤茶さんですかね 笑

『アメリカーノの女』

雨の日のチェリー・ブロッサムに収録。

この頃のオキさんの作品は比較的泥臭いストーリー

が多いと思います。基本、オキさんの作品は、一人

称、もしくは三人称一視点で描かれています。掌編

小説という事もあり、登場人物は、彼、彼女、男、

女、マスターなどと呼称されていますが、80年代

半ばあたりの作品の登場人物には名前があてがわれ

ており、さしずめメロドラマのような仕上がりか

と思います。この作品もやはり、メロドラマ臭が

ぷんぷん匂ってきますが、私、嫌いじゃないんです

よね、メロドラマ 笑 恥ずかしながら、初見で

この作品を読んだ時、不覚にも涙腺が脈打ちまし

た 笑 涙こそ出ませんが、胸が熱くなりました

ね。

主人公は八木という男。舞台は東京です。濠端の桜

が一望出来るホテルのバーで、彼はアメリカーノと

いうカクテルを注文します。これは待ち合わせを

している相手、悠子の好きなカクテルです。彼らは

同郷である釧路の高校の先輩と後輩という関係。

悠子は二つ下の後輩でした。それから数年後、八木

は上京した際に、東京に就職した悠子に偶然出くわ

します。勤めは釧路でしたが、月に一度の割合で、

上京した時には必ず悠子に連絡し、同郷の好しみで

酒を酌み交わす仲になりました。それから一年。

この日、八木はある決心をして上京したのです。

待ち合わせに遅れてきた悠子は、今切ってきたと、

長かった髪を、高校時代のように短く切って現れ、

八木を驚かせます。前日、いつも待ち合わせをして

いたホテルではなく、別のホテルにしたと伝えた

が、何故だかためらっている様子だった。そして

待ち合わせに遅れてきたかと思えば、何の前触れも

なく髪を切ってきた悠子に、八木は不信感を抱き

始めます。そこで現れたのが、悠子が勤める広告代

理店の取引先である宝石店社長の野田という男。

八木がこのホテルに宿泊すると知った野田は、いや

らしい目で悠子をねめ回し、このホテルにはよく

泊まると、悠子を八木の前で辱しめます。奥に居る

からあとで声を掛けなさい、送っていくからと、

その場を去っていく野田。沈みきった二人の空気を

振り払うように、八木は悠子に、髪型が高校時代の

時のようだね、と昔を懐かしむように話題を変えて

話し掛けます。すると悠子は、あの頃は校則でああ

するしかなかったと、いじましく泣き笑うような

顔でそれにこたえます。その表情を見て、八木は

改めて決心するのです。ポケットに忍ばせてある、

箱詰めにされた指輪を握り締めて。

このストーリーで私が気になったのは、八木と悠子

がプラトニックな関係であったのか否か。という

点ですね。それによって、ラストシーンの悠子の

泣き笑いの印象がかなり変わってきます。どちらに

せよ、悠子は八木と野田を会わせたくはなかった

はずですが、八木とも体を重ねていたのなら、最後

の表情は二股女の乱心です。まあ、私はプラトニッ

クであったと信じたいので、前向きに考察しました

けどね。悠子と野田の関係は、明らかに歪んだもの

で、悠子にとっては汚点なのでしょう。作中で悠子

は釧路にはもちろん帰りたい、そろそろトシだし

ね、とこぼしていた事から、八木は添い遂げる決心

を固めたのです。いずれにしても、プラトニックで

あろうがなかろうが、目の前で辱められた女性に

対し、決心を緩めなかった八木は立派な男ですね。

こういったタイプの男性はあまりオキさんの作品に

は登場しないので、嬉しい裏切りでした。それと

付け加えるなら、アメリカーノというカクテルは

カンパリをベースにスウィートベルモットを加え、

ソーダで割るカクテルで、昔からお客様にも薦める

好きなカクテルですが、このストーリーは正直、

桜に近しい色合いという以外、アメリカーノである

必要がないですね 笑 まあ、だからといって別の

カクテルでいいって訳でもないのですけどね。アメ

リカーノはオキさんの他作品にも使われています。

きっとご自身のお気に入りなのでしょうね。

 

今回もまた長々と書き連ねましたが、オキ・シロー

の作品はまだまだたくさんあります。もちろん

恋愛テイストのストーリーだけではなく、オキ・

シローならではのペーソスを盛り込んだ掌編浪漫譚

は、令和の時代でも十二分に愉しめます。押し並

べて、薦めたお客様の面々が述べる感想は、とに

かくカクテルが飲みたくなる。ですね 笑 私も

そうでした。皆さんも是非、ご自分のカクテル・

ストーリーを見つけてください。

では、また、、

 

 

 

 

 

 

 

恋と夢想とハートカクテル。

こんにちは、バーシエールの岡本です。しかし、

寒いですね。暖冬とはいえ、これくらいやって

おかないと冬の沽券に関わるのでしょうか。

そんな見栄っ張りの冬の対策として、ハートウォー

ミングな恋の話を今回はしていきます。来月は

バレンタインですしね。暖まっていってください。

ところで皆さん、ハートカクテルという漫画を

ご存知でしょうか。漫画家、イラストレーター

の、わたせ せいぞうさんが描いた漫画で、19

83年から1989年の間、一世を風靡した流行

漫画です。とは言っても、人物画以外の画力が強

く、オールカラー、ショートストーリーの作品で

あった為、イラスト集のような作品でもありまし

た。そしてこれは個人的な記憶の一片としてなの

ですが、当時、『ストップ!! ひばりくん! 』などで

ほぼ同時期に人気を博していた同じく、漫画家、

イラストレーターの江口寿史さんの作品とはまた

違った魅力を持った作風です。まあ、一般的に

見たら、比べる事自体がナンセンスなのでしょう

が、何せ私はこの当時小学生ですから、3ビット

ほどしかない脳みその記憶なんざこんなものです。

当時の私の記憶の中ではこの御二方が何故か拮抗

していました 笑 まあ、とにかく江口さんの画力

は、現在に至るまでのイラストレーターとしての

作品でもお分かり頂けますように、人物に集中して

おりますので、わたせさんとはまるで正反対の魅力

を持ち合わせています。シナリオストーリーも全く

正反対です。というより、今思えば作品が云々とい

う問題ではないですよね。これはもう、人間性の

違いなのだと思います。江口さんは人気真っ只中に

連載を放り投げるなど、破天荒な仕事ぶりが有名

で、漫画の内容も独特なセンスのギャグ漫画を描い

ていたのに対し、わたせさんはもう、耽美主義の塊

のような作風というか、極度のナルシストなのか、

ストーリーもいちいちお洒落ですね。長編などの

構想を練る場合に、村上春樹さんや向田邦子さん

などの作品を読むと、ご本人はおっしゃっていまし

た。なるほど、似ています。向田邦子さんはとも

かく、こんな言い方は語弊があるかもしれません

が、村上春樹さんは同じ種類の人間なのだと

思います。学部は違いますが、大学も同じ、年齢も

ほぼ同世代ですしね。江口さんではありません

でした 笑 私の中で勝手に拮抗していたこの

御二方の共通点は、漫画家でイラストレーターで

ある事と、女性を描く事がとてもお上手だという事

のみでしたね。いい大人になってから初めて辿り

着けた真実です。

江口寿史さんのイラストです。

さて、このハートカクテルという漫画。実はアニメ

化もされています。1986年から1988年まで

の約二年間、更に言えば、その間に、ドラマ実写化

もされていました。ドラマの方は今回は触れません

がね。ちなみに、三上博史さんと鈴木保奈美さんが

演者として出演していました。さておき、この

アニメはそもそもショートストーリーなので、

当時、現在のJT の前身であった日本たばこ一社の

提供で放映していました。

ショートストーリーをたばこ一本分と表現していま

すね。どなたのキャッチコピーなのかはわかりませ

んが、ハートカクテルにピッタリの洒落た番宣文句

です。そもそもハートカクテルとはどういった漫画

なのかというと、一言で云うならばショートラブ

ストーリー。ただ、様々なディテールにこだわる

わたせさんですから、車やバイク、建築様式から

インテリア、主人公たちの着る洋服にバッグなど、

どれもファッション性の高いセンスの良い物ばかり

を集めてデザインなさっています。舞台は様々で、

時折り外国へ飛びますが、基本は日本だと思いま

す。神戸出身の方なので、港町が多く登場すると

いうのも印象的です。四季折々に合わせたこれらの

描写も見どころの一つですね。元々、わたせさんは

保険会社に勤めていながらも、平日は仕事。休日は

ハートカクテルという生活をなさっていたらしく、

汲々の毎日を過ごす中、ご自身の趣味や夢想を全面

にぶつけたのがハートカクテルの世界になったと

おっしゃっていました。特に車にバイクはお好きだ

ったようですね。シトロエンにヴォルクスワーゲン

、ホンダのオフロードバイクにベスパなどが、

そっとストーリーに華を添えます。それと忘れては

ならないのが、酒、たばこ、バーの存在ですね。

たばこは原作よりアニメの方がより多く登場して

いたように思います。時代もありますが、まあ、

日本たばこの提供ですからね。今見ると懐かしい

銘柄が次々と登場します。酒もまた時代が絡んで

いますね。ビールはバドワイザー、カールスバー

グ。レーベンブロイ。ウイスキーはカティサーク

など、バブル期に流行っていた洋酒がさり気なく、

主人公たちの日常に溶け込んでいます。カティサー

クを帆船の酒と表現しているあたりが印象的です。

まあ、版権問題なんでしょうけど、帆船の酒って

いい響きですよね。痺れます。バーを絡めたシーン

にこれらの酒は多く登場します。港町にバーはたく

さん点在していますから、ハートカクテルにも当然

顔を出します。ハートカクテルに限らず、トレンデ

ィドラマにねるとんなど、80年代という、恋多き

時代にはおあつらえ向きのロケーションであったで

しょうね。80年代ですと、87年の 『Ryu’s Bar

気ままにいい夜』が記憶に鮮明です。村上龍さんが

MCを務めたトーク番組でしたけど、龍さんの声が

小さすぎて、聞き取るのが大変だったのをよく覚え

ています 笑 漫画では、ハートカクテル。テレビ

番組では、Ryu’s Bar。この二つが、思春期であった

私に初めて大人を感じさせてくれたメディアでし

た。

ハートカクテルには、時折りファンタジーな生き物

が登場します。おそらくこれらの生き物は主人公の

メンタルを具現化した物なのでしょう。わたせさん

は必ずこれらの生き物にボウタイ、所謂、蝶ネク

タイを付けさせます。まるでアリス・イン・ワンダ

ーランドの白ウサギのようで可愛いのですが、この

お馬さんの方。このシーンは、主人公が「何か飲む

かい?」と、お馬さんに尋ねるシーンなのですが、

この馬、この風貌でこの後「スプリッツァ!」と

言い放ちます 笑 スプリッツァとは白ワインを

ソーダで割ってライム果汁を絞る、私にとっても

お気に入りのカクテルです。このお馬さん、突然

玄関からやってきて、ドカッとダイニングのテーブ

ルを占領すると、この風貌でスプリッツァを注文す

るのです。また美味しそうに飲むんですよね、口の

先にグラス当てて 笑

原作のコミックとアニメーションとの最大の違いは

やはり音。声を当てている声優さんは作風を乱さな

い為か、個性はあまりありません。その代わり音楽

には特別にこだわっています。放映クール中前半は

主に、中森明菜さんのミ・アモーレの作曲などを

手掛けた松岡直也さん。後半は、当時、テレビ番組

にもよく出演なさっていましたね。作曲家の三枝

成章さんが担当していました。村上春樹さんもそう

ですが、わたせさんも作中に音楽を頻繁に盛り込み

ます。勿論、原作を忠実に踏襲する形で再現してい

ますが、ストーリー毎に作られた楽曲の何とハイ

レベルな事か。今聴くと更に良さが分かります。

松岡直也さんの透明感のあるファッショナブルな

作品に更に輪をかけて贅沢な旋律に仕立てているの

が三枝成章さんというイメージ。これ、アニメー

ションのBGMという楽曲レベルではないですよ。

サウンドトラックもかなり売れたらしいです。実に

素晴らしい。恍惚と聴き入ってしまいます。酒との

相性が抜群ですね。

さて、ここで、数ある作品の中で、特に私が推薦す

るストーリーをいくつか紹介致します。ワンエピソ

ードにつき3分弱なので、良かったらご覧になって

下さい。ただ、あくまで主観ですので、皆さんの

胸には刺さらないかもしれませんが、悪しからず。

『兄のジッポ』

主人公の男性が兄の未亡人であるレイコさんへ

想いを寄せている訳ですが、あともう一歩が踏み

込めずに逡巡している様が幼気でとても好感が

持てます。悲しみに明け暮れるだけではなく、

未来への明るい兆しも感じ取れますね。

『さよならホワイトレディ』

バレンタインという事でリストに加えました 笑

観ての通り、クールなストーリーです。ホワイト

チョコレートをこういった形で渡すあたりが、

ホワイトレディたる所以なのですかね。曲のテンポ

もクールです。

『彼のパパは東へ行けといった』

このストーリーを改めて観ると、映画、『マディソ

ン郡の橋』のクライマックスシーンを彷彿とさせ

ます。ロバート役のクリント・イーストウッドの

車が、交差点でフランチェスカ役のメリル・ストリ

ープ達の乗る車の前に停車して動きません。不審に

思ったフランチェスカの夫は運転席からクラクショ

ンをけたたましく何度も鳴らします。助手席のフラ

ンチェスカはドアノブに手を掛けたまま、降りてそ

のままロバートについて行くか激しく葛藤します。

やがてロバートは諦めて、ルームミラーにフランチ

ェスカから貰ったネックレスを巻き付けて後方にい

るフランチェスカへと別れの合図をし、交差点を逆

方向へ曲がって行くのです。フランチェスカはむせ

び泣き、夫は訳も分からずただ見守るだけ。そんな

シーンでした。内容は全く違うのですが、シチュ

エーションがとてもよく似ているので、フラッシュ

バックしてしまいました。このストーリーの場合、

交差点を運命の分かれ道とするならば、西は逃げ道

なのでしょうね。亡くなってしまった彼の思い出に

浸り、いっときは楽な気持ちになるのでしょう。

ですが実際のところ、止まったままの人生を歩む事

になる。しかし、東へ行っても楽な気持ちにはなり

ません。彼の思い出から脱却するには茨の道となる

でしょう。けれども、幸福というものを到達点とす

るなら、東の街を目指した方がほんの少し近道にな

るのです。それを表すように、標識では東の街が少

しだけ近くなっています。そして陽光が差す中、彼

女はウィンカーを右に切り替える。短い作品の中に

たくさんの情報を詰め込んだ良作品ですね。

素晴らしい。

『カノジョのほほえみはミスティー』

恋を本気でするとこうなるの典型かと思われます。

私はこの症状に経験があるもので 笑

人を好きになると、たくさんの力を授かりますよ

ね。生きていても張り合いがあるし、ありふれた

風景も美しく見えたり。何をしていても楽しかった

りと、数え上げたらキリがありません。その代わ

り、恐ろしく深い闇もついて回りますけどね。相手

が何を考えているのか推し量れない時などは、自分

の事を本当に好きでいてくれているのだろうかだと

か、そしてその好きという気持ちは自分と同じくら

い強いのだろうかだとか。こちらも掘り下げれば下

げるほど、闇は濃くなる一方です。まあ、要は病気

なのです。情緒が不安定をきわめる典型的な病気

です。そして、この主人公達。きっと、まだ二人で

階段を上り始めたばかりなのでしょう。会える時間

が限られているのでしょうね。初めは皆そういうも

のです。会える時間が限られている。限られている

から尊い。けれどもその気持ちとは裏腹に、記憶が

曖昧になっていく。それは何故かというと、彼女と

会っている時間がまだ今のところ非現実的、且つ、

非日常的だからなのです。云うならば夢の中の出来

事。それを起きてから思い出すのは中々困難です

よね。幸せな症状です。帰路に就く間に彼は思い出

す作業に取り掛かりますが、途中、車のトラブルで

人助けをします。しきりにお礼をしたいとせがむ

二人を尻目に、急ぎの仕事と称してその場を後にし

ます。この出来事から先は、思い出す作業から、

儀式へと変化したのだと思います。それほど尊い

時間になったのでしょうね。彼女との時間を一人

噛み締める大切な時間です。カーオーディオの

カセットや中央フリーウェイはまさに時代ですね。

これもまた良作品です。

以上になりますが、まだまだ話し尽くせません 笑

ハートカクテルは全てのストーリーが本当に素晴ら

しいです。子供の頃の記憶がある方も、青年期、

あるいはいい大人になってからの記憶がある方も。

もう一度目を通してみませんか。懐かしいという

だけではなく、新しい発見があると思いますよ。

では、また、、

ハートカクテル

お帰り寅さん。

「結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りは

クソだらけってねぇ。タコはイボイボ、ニ­ワトリ

ゃハタチ、イモ虫ゃ十九で嫁に行くときた。 黒い

黒いは何見て分かる。色が黒くて貰い手なけりゃ、

山のカラスは後家ばかり。ねぇ。­色が黒くて食い

つきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たないよとき

やがった!」

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

年も明けてしばらく経ちましたね、正月休みが長か

った方も短かった方も、そろそろ本腰入れて今年を

始めましょう。私は年初め、昭和の正月映画の定番

であった、男はつらいよの新作にして50作目と

なった、『男はつらいよ お帰り寅さん』を拝見

して参りましたので、今回は男はつらいよという

映画について少しお話しします。

男はつらいよといえば、寅さん。寅さんといえば

的屋。的屋といえば露天商。露天商といえば

叩き売り。叩き売りといえば、啖呵売(たんか

ばい)。という事で、冒頭を飾ったのは男はつら

いよの名物でもある、啖呵売の口上の一部分です。

特に結構毛だらけ猫灰だらけのくだりは商売以外の

シーンでも台詞として使用されていますので、多く

の人の耳に馴染んでいるかと思います。そもそも

寅さんのこの啖呵売のシーンは落語をモチーフに

しているらしく、いくつか種類がありますが、落語

の知識が明るい方などは、より楽しめるシーンなの

ではないでしょうか。大抵の作品は御約束として、

正月の参拝客や祭り縁日などの客を相手に啖呵売に

精を出す寅さんでラストシーンを締めます。主題歌

のインストルメンタルがスッと入るあたりは何度観

ても、どの作品を観ても胸が熱くなりますよね。

そして、今回のお帰り寅さんにもこのラストシーン

は存在します。しかし、他の作品と異なり、曲

が流れている最中、主演の吉岡秀隆さんの涙を皮切

りに、もう、それこそ走馬灯のように、歴代の

マドンナ達の印象的なシーンが、ワンシーンにつき

1、2秒の間隔で猛ラッシュをかけます。これには

もう、涙腺が崩壊しました。何という偉大な作品で

あったのだろうと。驚異的なマンネリの中に、色恋

沙汰や人情、東京の下町情緒や田舎町の風情などを

ふんだんに盛り込み、時宜に叶ったキャスティング

に、粋な漫談。シリーズ化された喜劇映画という

狭い枠組みにとらわれず、映画という興行アートの

極みを貫き通した作品なのではないでしょうか。

やはり、映画作家が自らメガホンを取ってきたと

いうのは大きい。初期のスターウォーズなどを良い

例として、まず、原作との相違点で不毛な論争が

起こらない。勿論、原作者がメガホンを取ったとこ

ろで、理想と現実との開きが埋まらない事は珍しく

ないでしょう。ですが、観客や演者に制作スタッ

フ。そして何よりご自身が府に落ちるかどうか。

このあたりが大きく作品には影響するのでしょう

ね。山田洋次監督の細部にまで渡った作品への飽く

なきこだわりは世界的にも有名です。特にフィルム

撮影には強く執着なさっていて、時代の流れ

に埋没した遺物、35ミリフィルムを未だに使って

撮影に臨み、出来得る限り上映まで反映させます。

勿論、現代の機器との互換が必要なので、デジタル

に焼き直すという手間が必要になってきますが、

これは合理化では埋められない、作品の豊かさに

起因するものだと、ご本人は公言なさっています。

この感覚は我々一般人に身近な物だと、音楽プレー

ヤーが例として挙げられますかね。レコード、カセ

ットテープ、CD、MD、今や電話と融合したりと、

様々な変遷を遂げた音楽プレーヤーですが、レコー

ドの需要が未だにあるように、古い物には、新しい

物でも埋められない時代の臨場感があります。利便

性で得られる機能美とは違う所謂、味があるって

やつですかね。確かにアンティークやヴィンテージ

物には独特の趣きがあります。ただ、ここまで話し

ておきながら覆してしまうようですけど、私は懐古

主義ではないので、新しい物との融合を推進します

けどね。まあ、何事にも限度が必要かと思います。

少し逸脱しましたが、とにかく、名場面集という

だけでは終わらせていない今回の作品。完結と

いう文字がないだけに意思といいますか、野望と

いいますか、作品の中からそのようなものを感じ

ました。いずれにしても、山田洋次という巨匠の泉

は、まだまだ枯れそうにありません。いつまで拝ま

せて頂けるのかはわかりませんが、貫き通して頂き

たいですね。

ここで、映画の話ばかり続いたので、少し酒の

話をします。男はつらいよシリーズには、茶の間

のシーンが数多く登場しますね。大抵の場合、

寅さんが想いを寄せるマドンナ達への妄想美談、

通称寅のアリアが始まるか、タコ社長を交えて些細

な事から大喧嘩に発展します 笑 そしてその茶

の間のちゃぶ台を彩っていた酒が、サッポロの赤星

とサントリーの角瓶です。これ、不思議、という

か、疑問に思うのが、酒造メーカーが分かれている

点なんですよね。大体こういった場合のスポンサー

は一つに絞るという勝手な解釈があるものですか

ら、昔から違和感を感じていました。どなたかわか

る方いましたら教えてください 笑 それと、

ウイスキーのチョイスで面白いのが、男はつらいよ

第1作でめでたく結婚したさくらと博でしたが、

結婚当初からしばらくの間アパート住まいをしてい

る時期があります。そして、そのアパート時代の

ちゃぶ台にはサントリーホワイトが慎ましやかに

置かれているのです。ホワイトは角瓶より幾ばくか

グレードが落ちるウイスキーですから、これは

第26作で戸建てのマイホームを購入するまでの

倹約の描写なのでしょうか 笑 ディテールには

こだわる山田監督ですから、きっと何かしらの

お考えがあっての事なのでしょうね。こちらも

どなたか事情通の方がいれば教えてください 笑

1996年。これは、車寅次郎こと、渥美清さんが

亡くなった年です。この年の8月に他界されまし

た。享年68歳。今の時代からすると、あまりに

早いお別れでした。今回は50作目という節目の

作品になったわけですが、おじちゃん役を演じた

森川信さん、松村達雄さん、下條正巳さん。おば

ちゃん役の三崎千恵子さん、タコ社長役の太宰久雄

さんも既にこの世を去っています。いずれも昭和の

映画やテレビドラマを沸かせた名優の皆さんです。

エンドロールにお名前を拝見した時、私は粛然と

襟を正す思いで眺めていました。ですが、今頃は

またお空の向こうで、おじちゃんとおばちゃんは

とらやを営み、茶の間にゆうげの支度が整うと、

寅さんを囲んで皆さん大立ち回りでしょうか。

まだ寅さんが旅をしているのなら、いつかの作品で

寅さんが満男に言って聞かせたように、私も

今後、困った事があれば、風に向かって寅さんの名

を呼んでみたいと思います。

では、また、、

2020年。成人の日の三連休。

新年明けましておめでとうございます。

バーシエールの岡本です。旧年中にはお世話に

なりました。本年も宜しくお願い致します。

さて、今週末は成人の日の三連休がありますね。

今年の営業日は、1月11日(土曜日)、通常

営業。1月12日(日曜日)、通常営業(深夜0時

頃まで)、1月13日(月曜日)、休業。と、

なっております。ちなみに、2020年の我が国

での新成人の数は、122万人だそうな。2001

年が157万人だったので、ここ20年ほどで、

約30万人以上減ってるんですね。そして、日々の

生活で体感出来るほど、今この国は外国人で溢れて

います。今年はオリンピックも控えていますし、

何かと節目になる年でもありそうですね。受け入れ

る気構えが必要になってくるでしょう。ご周知の

通り、年間20万人の移民を受け入れるとなると、

純血の希少価値を求められる日までは、そう長くは

ないのかもしれません。では、また、、

年末年始のお知らせ。2019。

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

今年も残り僅かとなって参りました。しかし、あれ

ですね。振り返ってみれば、10月に関東地方で

猛威を振るった台風19号のおかげで、今年は

ほとんど雨の日だったような錯覚に見舞われている

今日この頃です。地球温暖化の影響で台風も年々

強大化しているらしいですよ。怖いですね、恐ろし

いですね。とにかく関東は避けて欲しいですね。

良い事一つもないですから 笑

さて、年末年始のお知らせです。令和元年最後の

営業日は12月31日(火曜日)とさせて頂きま

す。年始は1月4日(土曜日)からの営業となりま

すので、よろしくお願い致します。

では、また、、

 

 

 

 

タピオカのカクテルについて。

皆さん、こんにちは、バーシエールの岡本です。

今回は一部のお客様だけに提供していた秘事を

赤裸々に語ります。一部お耳汚しをしてしまう恐れ

がありますので、ご了承ください。

タイトルにもある通り、タピオカのカクテルについ

てなのですが、当店、実は随分と前からタピオカ

入りのカクテルを作っておりまして、実際に店で、

一部のお客様限定で秘密裏に提供しておりました。

何故わざわざ内緒にしてるのかといいますと、

私がお客様に勧める事が恥ずかしいからです 笑

正直、タピオカという単語を口にする事すら憚られ

ます。前半のタピはちょっと可愛い感じなのに、

後半はオカとお堅い感じ。口に出す度に戦慄です。

ですが、そんな私に転機が訪れたのはそう、あれは

数年前のあの日、とあるお客様から

始まったのです——。

 

「マスターはタピオカって飲んだことあります?」

屈託のない澄んだ笑顔だった。若い女性客。内巻

きにした髪が愛らしい色白のその女性は、その笑顔

に相応しいすず声で軽やかに言った。私が面食らっ

た様子で答えあぐねていると、

「わたし、飲んだことないんですよねえ、あの列に

並ぶのが恥ずかしくって」面映い感じにそう

続けた。

「流行っていますものね。私も飲んだ事はないん

ですよ。理由はお客さんと一緒です」私は本当の事

を伝えた。

「そうですよねえ。でも、わたし。マスターがあの

列に並んでいたらちょっと引いちゃいます」

コロコロと笑っているが、同感だった。

「そうだ」彼女はパッと表情を明るくする。

「タピオカのカクテルって作れないんですか」

突拍子もない問いに私はまたぞろ返答に窮した

が、かろうじて、「出来ない事はないですよ」

そう答えた。

「本当ですか。じゃあ、今度来る時までに用意出来

ますか」彼女は目を輝かせた。

「出来ますよ」と私が答えると、彼女は

「やったあ」と胸のあたりでパチパチと小さく

手を叩いた。

「約束ですよ」

「はい、約束です」

彼女は満足そうに顔を緩めると、くいっと小気味

よくカクテルグラスを返し、颯爽と店を後にした。

 

そう、この日を境に私はタピオカに手を染めた

のです。かなり思い出が美化、というか、捏造され

ていますがね。正直に言いますと、最初にオーダー

を受けたのは男性でした 笑 ただ、タピオカを

飲めなかった理由は同じです。とにかく、それから

というもの。一部のお客様だけに提供し続けた

タピオカのカクテルですが、一部のお客様が増え

続け、情報をネットで公開した方が良いという声も

多く寄せられた為、今回に至りました。

さ

タピオカのカクテル    ¥1、000

レシピは紅茶のリキュールをメインにウォッカと

フランボワーズのリキュールを少量加え、ミルクと

生クリーム、シロップを更に加えてシャーベット状

にしたものを、あらかじめグラスに用意した

タピオカの山に流し込みます。タピオカ専用の

ストローで召し上がってください。男女を問わず、

同じようにタイミングを逸し、未だに手付かずの

方や、いつものタピオカに食傷気味な方々も。

ワンランク上の大人のタピオカを試してみま

せんか 笑 では、また、、

築地場外市場。

 

こんにちは、バーシエールの岡本です。師走です。

寒さも本格さを増し、いよいよ冬本番ですね。

年の瀬を前にわたくし、今回は築地の場外市場へ

行って参りました。何年ぶりでしょうか。築地

に足を運んだときには大抵の場合、場内にお邪魔

していたので、場外は場内までのアプローチのよう

に考えてしまっていて、本格的に立ち寄るのは

数える程しか記憶にありませんでした。築地市場が

豊洲に移転してから一年ほど経った今、場外の様子

がにわかに気になり赴く事になった訳です。入り口

の看板も久しぶりに眺めました。昨年までは私たち

は移転しませんの横断幕が掲げてあったようです

が、現在では外されていました。この日も観光客の

方々が大挙して押し寄せていましたね。看板に書い

てある通り、キャリーバッグを持ち込むのはやめま

しょう 笑

久々の築地という事で、やはり海産物に気持ちが

なびいてしまいます。この日は休日で、飲食店の

選択肢が限られており、チェーン店からのチョイス

となりましたが、お邪魔した経験がない店でとなる

とかなり悩みました。とどのつまり、正直よく

わからなかったので、もうこの店の佇まいだけで

選んでしまいました 笑

今回お邪魔したのは、江戸前にぎりの店、秀徳さん

の本店です。残念ながら諸事情により、ランチのタ

イミングでしか入れませんでしたが、とても満足し

ました。赤シャリで頂く寿司も久しぶりで新鮮でし

たし、付いてくださった職人の方との会話がネタ

以上に新鮮でしたね 笑 嘘ですネタも新鮮

でした。しかし、見習うべきはその英語力。勿論、

完璧な英語ではありません。伝われば良いのです。

狭い店内には欧米諸国の観光客とアジアの方々も

同席していましたが、何ら遜色のない会話を楽しん

でおり、気の利いた冗談で笑いさえ取っていまし

た。この辺りは私も対面商売の端くれ。羨望の眼差

しで見つめていました。これは秀徳さんに限らない

のでしょうが、さすが日本でも有数の観光地。頭が

下がります。そもそも観光地でなければ、外国語

など門外漢でしょうからね。努力と経験。私の

ように外国語を話されると石化してしまうようでは

成り立たないのです 笑

秀徳さんをお暇して場内の跡地へやってきました。

わかっていたとはいえ、閑散としておりました。

目を瞑ると、少し前の光景が蘇ってきます。昔は

店をはねて残っているお客様を引き連れて場内見学

と寿司をセットで楽しんだものです。東京の食文化

を支えていた台所。ターレットトラックと接触しな

いように気を配り、波除神社を曲がれば正門が見え

てきます。場内の活気を肌で感じ、目に映るものが

何度訪れても新鮮でした。場内家屋の脇に、ビルの

二、三階程はあったであろう、うず高く積まれた

発泡スチロールのゴミ山を眺めると、何だったんで

しょう、あの感覚。元気がもらえるんですね。

さあ、頑張って商売やろうって 笑

勿論、無くなった訳ではありません。豊洲に移転

しだだけの事。しかし、一幕降りたという感覚は

拭えませんね。築地の長い歴史の中では極々ちっぽ

けな想いなのでしょうけれど、私にとってもまた、

青春だったのかもしれません。

駐車場になっていました。キッチリしてますね。

競りの見学についての看板ですね。まだ残って

いました。これも懐かしいです。ホーロー看板とし

て第二の人生が待っていそうですけどね 笑

場外に戻ってきてこの黒山の人だかり。テリー

伊藤さんの玉子焼きですね。まあ、有名ですよね。

しかし、玉子焼きごときにこんな、鈴なりになって

って思いますよね。私もそう思います。食べながら

撮影しましたけどね。普通に美味しいです。

何といいましょう、百果園のフルーツ串みたいな。

そんなに情熱も意味もなくつい買ってしまう類い

ですね。わからない方、すみません。

強い意志。

良い風景ですね。こういったものもまた、元気が

もらえます。立場や尺度は違えど、見て感じ、肌で

感じるものは万国共通でありたいものです。今回

築地場外市場を見て周り感じた事は、その地に息づ

くものは、本物であれば人は受け入れ、それを

拡散していき、形を変えて新たな出発点となる。

そしてこれは、死滅するまで、まるで細胞分裂のよ

うに、ほぼ恒久的に繰り返されるのでしょうね。

何かが無くなれば、何かを得る。逆もまた然りです

が、築地場外市場。まだまだ楽しませて頂けそう

です。では、また、、

 

築地場外市場

秀徳

ターレットトラック(動画です)

 

 

 

 

 

 

アルケミエ。

皆さんこんにちは、パーシエールの岡本です。

今回はアブサンという酒について少しお話します。

アブサンという言葉の響きは、日本では水島新司

さんの野球漫画『あぶさん』で耳に馴染んでいると

思います。実は、あぶさんの名前の由来はこの酒に

起因しています。原作者の水島さんは大の酒好き。

主人公である景浦安武、通称あぶさんが酒豪の強打

者という設定もあり、世界で最も強い酒の一つであ

るアブサンを作品名にしたとの事。私、原作をよく

知りませんが、アブサンの名を冠する主人公なん

て、ちょっと洒落てますよね。きっとイカれてる

んでしょうけど 笑

まあ、余談はさておき、アブサンという酒は

とにかくアルコール度数が高いです。蒸留法で

生成するリキュールなのですが、50度、60度は

当たり前。70度、80度、果ては90度という

高アルコール度数を誇ったアブサンも存在します。

 

● そもそもどの国の酒なのか。

 

アブサン発祥の地はスイスといわれています。

そこから波及するようにヨーロッパ全土に広がって

いきました。18世紀中頃、その当時では高アルコ

ール度数で安価なアブサンは貴重だったと思われま

す。現代では高名な偉人や芸術家など、まだまだ実

入りの少なかった時分に、少量で酔えるこの酒は魔

法の酒であったでしょうね。ピカソ、ゴーギャン、

ゴッホ、数え上げればきりがありませんが、数多く

の芸術家たちが魅了されました。

 

● どんな味の酒なのか。

 

アブサンの主原料はにニガヨモギというヨモギの一

種で、これとハーブ類を多数調合し、蒸留して生成

されます。一言では言い尽くせない複雑な味わいで

すが、昔から、初めて口にしたお客様は歯磨き粉の

よう、という感想が多いですね。確かにミント類の

ハーブも含まれているのでミントの存在感は大きい

です。そこに爽やかな甘みとニガヨモギの苦み、

そして高アルコール度数の刺激。これはあれです。

イカれた酒ですね。個人的ではありますが、右脳を

程よく刺激してくれます。大人の情操教育の為の、

右脳トレーニング飲料です。著名な芸術家たちが

軒並み虜になっていく理由がわかる気がしますよ。

 

● 製造・販売中止。

 

アブサンの主原料であるニガヨモギにはツヨンとい

う成分が含まれており、このツヨンを乱用すると、

幻覚症状や錯乱状態を引き起こすものとして毒成分

が認められ、19世紀後半から20世紀初頭にかけ

て、ヨーロッパ本土では製造販売が禁止され

ました。その後、20世紀後半にはツヨンの残存容

量を抑える事で解禁となるわけですが、この時、ア

ルコール度数の規制は設けられていません。確かに

ツヨンには毒成分があったのでしょうが、正直、

70度も80度もある酒を常用摂取していれば、

幻覚、錯乱状態を引き起こすのは至極当然かと思わ

れます。もうこれくらいのアルコール度数になって

きますと、味云々ではなくなってくるので、日本で

は特に罰ゲーム要素が強まってしまいます。まあ、

個性がある酒は薦めやすいですけどね。ただ、

テキーラなどとは次元が違います。ストレートで

一気飲みなんて事は控えましょう。あっという間に

昏倒騒動ですよ。それと錯乱状態では、ゴッホが自

身の耳たぶを切り落としたという話が有名ですよ

ね。これはアブサンとの因果関係など、真偽の程は

わかりませんが、どうしたんでしょうね、ゴッホさ

ん。痛いですよね。絶対にやめましょう。

 

●   アブサンの飲み方。

 

では、アブサンはどうやって飲めば良いので

しょう。もちろん、節度をもってすれば、

ストレートで召し上がっていただいても構いませ

ん。味や香りを楽しむのに一番わかりやすいのは

ストレートですし、氷も入っていないので薄まりま

せん。ですが前述の通り、アルコール度数は人を選

びます。無理をせず、もっとポピュラーな飲み方を

選ぶのであれば、水割り一択になるかと思います。

炭酸などでも悪くはありませんが、アブサン特有の

爽やかな甘みが感じとりにくくなってしまいます。

こちらは形だけですが、このように専用のスプーン

に角砂糖を一つ。グラスに氷を詰めて、アブサンを

少しずつ角砂糖を通してドリップしていきます。

適量を注ぎ終えたら、スプーンの先をグラスに

落とし、水を加えて静かにステアして出来上がり。

香りをより強くする為に、パフォーマンスとして

アブサンでひたひたになった角砂糖に火を付けて

目で楽しむ作り方も存在します。是非、バーテンダ

ーに声を掛けて試してみてください。もちろん、

通常の作り方でも問題はありません。それと

もう一つ。アブサンを楽しむ上で欠かせないのが

白濁です。この現象は銘柄によってかなりの差異が

生じるので、すべてのアブサンが白濁するとは限ら

ないのですが、基本、無色のアブサンは白濁しま

す。これは、希釈する事で非水溶成分が析出して起

こる現象で、ストレートで飲み続けた場合、確認

出来ませんので、チェイサーなどをもらい、自身で

試してみるのも一興です。まるでコンデンスミルク

のように変色しますので、楽しいですよ。

 

●   辰巳蒸留所。

 

冒頭の画像やタイトルにもある通り、今回は

アルケミエという日本のアブサンのご紹介です。

辰巳蒸留所という場所で造っています。岐阜県の

郡上八幡。日本名水100選に選ばれている土地に

所在し、2017年の7月に開業いたしました。

酒造りは一人で行っています。東京農大で醸造学を

専攻し、国内外のメーカーやワイナリーを渡り歩き

、単身蒸留所を立ち上げました、辰巳翔平氏。彼の

努力の結晶がこのアルケミエになります。

実はこのブログ。昨年書きかけていたもので、画像

のアブサンはアルケミエの2年目の品で、言わば

セカンドシーズン。昨年の製品になります。非常に

出来が良く。お客様にもかなり気に入っていただけ

たので、早く書き上げてご紹介したかったのです

が、アップロードする前にものが無くなってしま

い、再入荷も期待できなかった為、次回作へと

繰り越しました。なにぶん一人で製造しているので

ロット数は少なく、ボトルも容量が500ml とな

っており、あっという間に在庫が底をつくというの

が現状です。ですが、今年また、辰巳蒸留所の新作

を仕入れる事が出来ましたのでご紹介させていただ

きます。

今回はジンになります。元々ファーストシーズン

からジンとアブサンを並行して製造しておりますの

で、3年目はジンのみリリースされた形となりまし

た。ただし、ジンの植物性成分。所謂、ボタニカル

の中で最も特徴的なジュニパーベリーより、

アブサンの主原料である、ニガヨモギが優っている

ジンとなっています。かなり苦味がありますね。

柑橘を思わせる爽やかなフレーバーを感じ、着色料

ではない天然の緑が強く印象に残ります。そして、

それぞれの副材料がバランスよく複雑に絡み合い、

今回もまた手作り感満載の一品となっております。

そもそも、緑色のジンなど見たことありませんよ

ね。まさにアブサンとジンの混血種。日本が生んだ

ニューウェーブではないでしょうか。是非お試し

あれ、と言いたいところですが、なにぶん杯数の方

が限られておりますので、ご用意出来るかはわかり

ません。間に合わなかった方は、来年に期待しま

しょう。しかしこれもまた、本物志向の醍醐味

ではないでしょうか。皆さんも右脳の脳トレしてみ

ませんか 笑

では、また、、