皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
温度差が激しい日々が続いて体がまいってしまい
ますね。これも温暖化の影響でしょうか。このまま
日本から四季が消えてしまいそうで、何だか
切ないですね。皆さんも体調にはくれぐれもお気を
つけください。
さて、コロナの感染者数も少し減ってまいりました
ので、営業時間を再度調整させて頂きます。
4月22日(金曜日)より、新しい営業時間は、
18時〜2時となります。現状から1時間延長と
なりますね。よろしくお願い致します。
さて、最後にここ最近入荷したウイスキーたちを
簡単にご紹介させて頂きます。

向かって左から、
ウイスキーミュウ「ロンドン ナショナル・
ギャラリー」 フェルメール『ヴァージナルの
前に座る若い女性』ラベル グレンマレイ2007
13年 60.5%。
こちらはフェルメールの絵画がラベリングされた
グレンマレイですね。まるでバニラのような
旨味があるスペイサイドのモルトウイスキーです。
その飲みやすさから高アルコール度数を感じさせ
ません。ちなみに、フェルメールのこの作品。
私はまだ直に観ていません。まさかモルト
ウイスキーが初見とは、、複雑です 笑
続いて中央のボトルは、
キルホーマン・サナイグ。
2005年にオープンしたキルホーマン蒸留所の
新作です。バーボン樽30%、オロロソシェリー
樽が70%の割合で熟成させたキルホーマンです。
熟成樽にオロロソシェリーの樽が使われている
ので、コクの強いアイラモルトになります。
シェリー樽のアイラモルトといえばラガヴーリン
が有名なので、お好きな方は、こちらも是非。
香りの数値であるフェノール値は50ppmとなる
ので、ラフロイグより少し強いくらいですかね。
美味いですよ。
そして右のボトルが、久しぶりの入荷となった
イーグルレア10年。
こちらはバーボンウイスキーですね。原酒は
バッファロートレースになります。イーグルレア
はとにかく飲みやすさが目立ちます。フォアローゼ
ズのプラチナなどに似ているでしょうか。お好き
な方は、こちらも是非お試しください。
以上、営業時間の変更と、ウイスキー各種の
紹介でした。では、また、、


皆さんこんにちは。バーシエールの岡本です。
休業明けで心身共に鈍っていたのですが、街に
溢れる人の数と同様に、復調してきたところです。
さて、タイトルにもある通り、今回は花見がてら
に終わり間際のフェルメール展と上野藪そばを
楽しんで参りましたので、その模様を少しだけ
お話ししたいと思います。


この日までは七分咲といったところでしょうか。
しかし前日の強風や雨を考えると、充分ではないか
と思います。しっかり春の雰囲気を味わえましたし
、この日私は若干前日の酒が残っておりましたので
、あまり満開然とされていても目に眩しいだけで
受け止めきれなかったように思うのです。コンビニ
で缶ビールを買うか迷いましたが、このしっとりと
した花見を堪能すべく、アルコールは控えたいと
桜並木を粛々と進み、大噴水の広場へ辿り着くと
、、

!

泡ばかりで少なかったので二杯頂きました。
しばらく広場周りの桜を摘みにうろちょろします。
早めに来て良かった 笑

さて、いちおう本番です。今回のフェルメール展は
コロナ禍による延長を経て、2月10日から公開
されていましたが、私も休業などがありましたので
ぎりぎりの来訪となりました。まあ、それと、
今回の目玉である、《窓辺で手紙を読む女》は、
2005年に国立西洋美術館で開催された、
ドレスデン展(この頃まではフェルメールという
ワードはタイトルにはありませんでした)の目玉
として来日しており、私はここで一度観ているので
、腰が重くなったということもありました。そして
更に、今回の美術展には、西洋美術だけではなく、
世界の美術界に於いて、とんでもない事件が発生
したのです。
まあ、端的に申し上げますと、

こちらが、

こちらになりました。なったというより、元に
戻された訳ですが、細かい事は抜きにして、
皆さん、普通に考えてどちらが絵画として良作だ
と思われますかね。まあ、これは間髪入れずに答え
は前者です。完全に決めつけですけどね 笑
このキューピッドには当然、この時代の絵画特有の
〝寓意〟が込められておりまして、仮面を踏みつけ
た矢を持ったキューピッドは〝欺瞞〟を意味します
ので、まあ、あれです。モデルの女性はその表情や
作品の雰囲気からして、恋人からの手紙を読んで
いますと。だがしかし、このキューピッドが意味す
るものは欺瞞。これ即ち、騙されるなと。真実の愛
を見つけなさいと。そういう解釈らしいのです。
確かに、キューピッドが無かった頃のこの作品の
解釈はぼんやりとしたものでした。あくまでも憶測
としてですが、恋人からの手紙を送り主の住まう
方角の窓をわざわざ開け放って、手紙を読むという
作業を儀式めいた描写に仕立てている。そんな風だ
ったと記憶しています。うん。いや、、それで良く
ないか? 笑 手紙がコミュニケーションツールの
最前線だった当時。恋人からの手紙を後生大事に
抱え、自分の用意したベストなロケーションで
拝読する。昭和生まれの皆さん。携帯電話が
無かった頃を思い出してください。恋人からの
電話がある時は、10分前から固定電話の前に
しがみついていませんでしたか? あの感覚です
よ。まあ、親にバレないようにワンコール以内に
受話器を取りたかっただけというのもあります
けれど。とにかく、特別な時間なのです。その
尊い時間にわざわざ水を差さなくても良いのでは
ないでしょうか。だからこそ、このキューピッドを
塗りつぶした人物も、作品の中心部を消し去ると
いう蛮行に至ったのではないでしょうか。そう。
この事件の肝はここです。このキューピッドを
消したのは、フェルメール本人ではなく、別の人物
らしいのです。どうやらその人物の特定は未だ
出来ていないらしいのですが、フェルメール
没後に消されたのは確実で、このあたりが、作品が
所蔵されているドレスデン美術館。延いては勤勉な
ドイツの美術業界の原則に反しているようです。
まあ、これは当然といえば当然ではあるのですが。
作品は作者が完成させた状態へと戻さなくては
ならない。これが原則ということで。本人が
描き直したり修復したのであれば、これは修復後が
完成であるのですが、この作品の場合、塗り潰され
た時期が作者の没後なので、完全に本人の意思では
ありません。とは言ってもねぇ、、フェルメール
の風俗画はやはり寓意よりも、静謐さなのですよ。
時間が止まっているかのような空間作り。それには
作品の中に、何もないエリアが必須なのです。まあ
フェルメールもまた、本人の意図とは違う形で脚光
を浴びた画家の一人ではあると思うので、とどの
つまり、何が正解なのかは観る人の好みになって
しまうのですけどね。私を含め、日本でこれだけ
フェルメールが注目を浴びたのは、まずはじめに
佳作の画家であったこと。モデルがほぼ女性で
あったこと。そして極め付けは、日本独自の
美意識である、侘び寂びなのだと私は思います。
そこに梯子を外すかのように違う解釈の寓意を
今更持ってこられても、はいそうですかと納得は
出来ないですよね。この作品の場合、二百年も
以前の状態であったのだから。

そして今、注目されているのがこちらの作品。
有名な作品ですね。こちらもまた、フェルメールの
風俗画。《牛乳を注ぐ女》です。私も何度か展覧会
に足を運びました。こちらの作品にも塗り潰しが
確認されております。この作品の場合、給仕の
ちょうど真後ろの壁面に地図が描かれているそう
です。はてさて、こちらはアムステルダム国立美術
館の所蔵となるので、フェルメールの故郷でもある
オランダの管轄になりますね。オランダはフェルメ
ールの他に、レンブラントやゴッホなど、ビッグ
ネームの画家を輩出している芸術大国の一つです。
ドイツはやってしまいましたが、オランダはどうす
るのでしょうね。炎上か安定か。西洋絵画の世界
に於いて、オランダの動向はかなりの影響が出るで
しょうからね。良くも悪くも、西洋絵画に対する
人々の意識が変わってしまうかもしれません。
まあ、もっとも、フェルメールの人気があるのは
日本くらいなのかもしれませんけどね。いずれに
しても、長い目で見守っていきたいと思います。
ところで、今回の美術展を置き去りに話を進めて
しまいましたが、今回のドレスデンについて少し
触れますと。んー、、2005年のドレスデンは
月をテーマに作品が集められた事もあり、絵画に
関しては私好みのラインナップでしたから、
個人的には前回のドレスデンに軍配が上がります
かね。特にこちらの作品は強く印象に残りました。

ヨハン・クリスティアン・クラウゼン・ダールの
満月のドレスデン。芸術の都ドレスデンをエルベ
河畔側から描いた夜景画です。ドレスデンは居城を
中心に構成された都ですから、異国情緒満載です。
どうですか、この、眷属の棲家のような佇まい 笑
ドレスデンのシルエットも良いのですが、朧月にし
てあるあたりが憎い演出ですね。他にも中世の武器
や防具に、陶器や調度品と絵画以外の作品も沢山
展示されていたので、結構なボリュームでかなり
楽しめました。まあ、全体的に前回の展覧会と比べ
ると、今回は見劣りしますかねぇ、、フェルメール
も含めて残念です。次回に期待。

さて、美術館を後にして、今回は上野藪そばを
目指します。こちらは不忍池の周辺ですが、出店も
あって大賑わいでした。絵的には桜の色味がもう
少し欲しいですね。

やって参りました。上野藪そばです。この日は休日
ということもあって、街が人でごった返しておりま
したので、当然、飲食店も混み合っています。
この入り口の最前列にたどり着くまで30分は
掛かりました。脚が棒のように、、
と、ここで藪そばについて少し触れておきます。
まず、上野で藪そばといえば、やはり池之端が
頭に浮かびますよね。日本三大そばの一つである
藪そば。その御三家で、神田、並木に続いて名を
連ねたのは上野の池之端でした。ですが、池之端店
は2016年に閉店いたしまして、それからという
もの。上野での蕎麦シーンに大きく穴が開いて
しまっていたのですが、上野藪そばの存在を知って
からはこちらに病みつきです 笑

まあ、とりあえず仕切り直しで生ビールを。
突き出しの焼き味噌が嬉しいですね。

蕎麦打ち場です。カウンターに隣接していて、
目の前で蕎麦を打ってくれます。御三家のように、
お運びさんの語尾を伸ばす独特な注文の通し方や
接客で風情を味わえるのも一興ですが、この
ようにわかりやすくアピールしてもらえるのも
また一興。どうしても何かと御三家と比べて
しまいがちですが、歴史でいえばこちらも相当な
長さを誇っています。神田藪そばの暖簾分け第一
号店と聞くことはありますが、全く関係ないという
方もおられます。正直、このあたりの問題は
きな臭いし、一顧客としてはどうでもいい問題な
のですけど、伝統の味を守り抜いて、130余年の
歳月を同地で商われております。

鴨のあいやきが到着。付け合わせのネギも含めて
塩胡椒のさじ加減、焼き加減共に素晴らしく、
お酒をみぞれ酒にしてもらったのですが、この日の
蒸し暑い天候と相まって、ベストマリアージュと
なりました。合わせて四合頂きましたが、過不足
なく、美味しく頂きました。並んで良かった、、

お酒に岩塩を添えてくれるのはありがたいですね。
合鴨に振り足したり、画像ではちょっと上手く盛れ
ていませんが、私の畑に例えますと、テキーラを
生で頂く要領で、みぞれ酒を煽りました。

この日のラストが見えてきました。〆にせいろうの
大盛りを頂きました。コロナ禍で久方ぶりの藪そば
を目の前にして、今はなき、池之端の蕎麦を思い
出します。最後に食したのはいつだったか。その日
も美術展の帰りでした。今だから口に出せますが、
末期の池之端はちょっと厳しいと思いました。
理由はどうあれ、どれだけ長く続けても、ボタンを
一つ掛け違えるとみるみるうちに瓦解する。
私も長く続ける飲食店のはしくれ。改めて身に
積まされる思いです。良い思い出は沢山あるのです
けどね。ある日足を向けてみれば、固く閉ざされた
シャッターに張り紙。閉店の文言を前に立ち尽くし
ました。何とも形容し難い感情でしたが、まあ、
こうして時間は経ち、今でも上野で藪そばを
頂いています。まるで醤油のようにしょっぱい
そばつゆは相変わらずで、蕎麦を少しずつ浸して
食します。無心で食べ続け、仕上げにわさびの
利いたそば湯をしみじみと飲み干します。満足。
来て良かった。ご馳走様でした 笑
さて、結局長くなりましたが、今回はここまでと
させて頂きます。今週末は当店も21周年を迎え
ます。まあ、フェルメールや老舗の蕎麦屋と比べ
れば、ほんの一瞬ですけれども 笑
皆様、今後ともよろしくお願い致します。
では、また、、

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
どうやら東京都もまん防が全面解除になるよう
ですね。これに伴い当店も営業を再開致します。
3月22日(火曜日)より、営業時間は当面、
18時00分〜01時00分までとさせて
頂きます。ひとまず、桜の季節には間に合った
ようです。昨年もこの時期はいっとき営業出来て
おりまして、何とか店の20周年を営業期間中に
終える事が出来ました。4月2日で21周年と
なりますが、無事に過ごせると良いのですが、、
では、また、、
皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
東京都のまん防が再び延長となりました。飲食店
には引き続き営業時間の時短要請が発令されて
おりますが、当店は変わらずに、
3月7日(月曜日)〜3月21日(月曜日)まで、
全面的に休業とさせて頂きます。二週間でどれほど
の効果があるのかは不明ですが、今は信じる他に
術がありませんので、どうかご理解の程よろしく
お願い致します。では、また、、
皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
ご周知の通り、東京都のまん延防止等重点措置が
延長になりました。先週から週末のみの営業を
始めたばかりなのですが、どうやら週末も見込め
ない状況がしばらく続きそうです。よって、
2月14日(月曜日)〜3月6日(日曜日)の
期間、当店は全面的に休業とさせて頂きます。
桜の季節までには解除になっていると信じて。
再度、暫しの間お別れです。では、また、、
皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
コロナの第6波が高止まりしています。これから
ピークが来るそうな、、ここで当店の営業日を
変更させて頂きます。2月7日(月曜日)の
週より、営業時間は変わらずに、金曜日、土曜日
のみの営業となりますので、何卒ご理解のほど
よろしくお願い致します。
では、また、、
皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
先月の24日と今月の11日に、20年以上もの
間愛用していた電化製品二つとお別れ致しました。
先に逝ったのはカウンターに沿って配置していた
業務用コールドテーブルタイプの冷凍庫。そして
後を追うようにキッチンに配置していた家庭用冷蔵
庫が静かに息を引き取りました。

嗚呼、、同志よ。さようなら。冷凍庫はバーの要
ですからね。20年もよく働いてくれました。
お疲れ様。寿命はとっくに終わっているはずなの
に、零細の店主を気遣ってか、随分と踏ん張っても
らいました。繁盛した日々も、閑古鳥が鳴く日々も
共に乗り越えた戦友です。
うぅ、、こんな、、あられもない姿に、、、
しかし汚いなぁ 笑

こちらが新入りです。これから共に歴史を刻んで
ゆきます。頑張りましょう! 笑

そしてこちらは後を追うように息を引き取った
キッチンの主の御遺体になります。まるで眠って
いるように安らかです 笑 先の冷凍庫と同期です
から、こちらも天寿を全うしたと言えるでしょう。
白物家電も長くなると愛着が湧くものですね。
20年間本当にお疲れ様。ありがとう!
しかし、、、汚いなぁ 笑


こちらも新入りです。カウンターの冷凍庫がフロン
ガスの規制で内側の容量が物理的に削られてしまっ
たので、こちらの新入りは冷凍室の容量を増加し、
カウンターの冷凍庫と合わせますと、以前より
冷やせる酒が増えました。とても優秀な子です。
当店は純然たるバーですから、こういった使い方の
方がしっくりきます。
さて、今回は相次ぐ訃報に思わず筆を取りました
が、旅立っていった冷蔵庫達を目の当たりにして、
私はある小説を思い出したのです。

ヒキタクニオさんの『俺、リフレ』という小説で
す。ひょんなことから意思を持ってしまった冷蔵庫
のお話。帯にもあるように、本当に泣ける小説です
笑 私は序盤、リフレ(冷蔵庫の名前)が自身の
構造について語るシーンで、「血液は電流だ」と
いう台詞があるのですが、そのあたりから
惹き込まれて、あっという間にリフレの虜になりま
した 笑 まあ、何せ冷蔵庫の一人称で進む物語
ですから、稚拙に感じる場面もままありますが、
家主の家族を何とか守ろうとする冷蔵庫のいじらし
さが切なすぎて、涙が止まりませんでした 笑
お勧めの小説です。他に冷蔵庫物だと、やはり阿刀
田高さんの『冷蔵庫より愛を込めて』が有名です
よね。

短編集ではありますが、私も昔読んで、阿刀田さん
の職人芸に感銘を受けました。どちらも良いのです
が、今の私の心境だと、『俺、リフレ』になるので
す。この小説はもっともっと評価されても良いはず
なんですけどね。実写化を心待ちにしています 笑
最後になりますが、これで幾つ目でしょうか、
店の家電や設備が寿命を迎えたのは。エアコンに
冷蔵庫の面々。トイレのタンクにターンテーブル
と。数え上げてみれば結構な頻度で旅立ちを
見送っています 笑 次は私ですかねぇ、、笑
そうならないよう、日々精進致しますので、今後と
もよろしくお願い致します。
では、また、、
『俺、リフレ』
『冷蔵庫より愛を込めて』
皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
本格的に寒さが増して冷気が身に染みますね。
ここ近年暖冬のイメージがあるせいかより厳しく
感じてしまうのは私だけでしょうか。体の芯まで
冷え切ってしまう。そんな日が続く季節に私が
お勧めするのはこちら。

冬の定番。アイリュッシュコーヒーです。毎年
勧めていますが今年もまた、このカクテルが恋しく
なる季節になりました。アイリッシュウイスキー
がベースのこちらのカクテル。発祥はやはり
アイルランドになりますが、コーヒーや紅茶で
ウイスキーやブランデーを割る飲み方は、ヨー
ロッパ全土で古くから馴染みのある風習の一つ
です。カフェインで覚醒し、蒸留酒で酩酊する。
更に体も温めてくれる優れ物。チョコレートや
葉巻とも相性が良く、真冬のバーシーンに粋な
彩りを添えてくれます。皆さんも是非一度お試し
ください。では、また、、


皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
やはり冬は寒いのですね。雪は勘弁して欲しいの
ですが、今季は多そうな気配がしますね。どうなる
ことやら、、。
さて、待望のバンクシー展が東京は原宿にて
開催されております。お邪魔したのは先月の開催日
翌日だったので、少し時間が空いてしまいました
が、先駆けて行ってまいりましたので、その様子を
今回はお話しさせて頂きます。

まず、バンクシーとは、身元不明の路上アーティス
トで、その作風は極めてセンシティブなヴァンダリ
ズムに富んでおり、世を儚み、嘲笑し、皮肉たっぷ
りのメタファーが溢れています。彼(男性である
事は判明しています)の動向は、秩序の有無さえも
不明で、神出鬼没に現れては、落書きという崇高な
儀式を完成させます。作品の多くはイングランドに
集中していて、これは彼がイギリス国籍であると
いう可能性を示唆していますが、世界各国、無差別
に作品が顕現するため、バンクシーは複数人いると
いう説もあります。2000年代に入り現在に
至るまで、最も知名度を上げたアーティストの中の
一人ではないでしょうか。しかし、どこまでいって
も落書きは落書きですから、その作風からも芸術
テロリストなどと呼ばれる事もあります。身元を
明かさないのは、見つかれば捕まってしまうという
、ごく当たり前の現実があるからなのです。

作品は主に、ステンシルシートによるものが多い
です。ステンシルシートとは、所謂、雛形で、
要は予め用意したシートにペイントしたり、
スプレーを吹き掛ける事で転写する比較的
お手軽で、現場での作業時間の短縮に繋がる技法
です。メリットとしては、多少の凹凸なら描けて
しまうという事もありますが、作業時間の短縮は
かなり大きいのだと思います。まあ、言ってみれば
一発勝負ですからね。今日はここまでと、次回
に持ち越してしまえば、見つかってしまって消さ
れるか、警戒されて待ち伏せされるというのも
ありそうです。それと特に街中である場合、
無許可の路上アートは常に警察との戦いでもあり
ますから、とにかく現地での時間がありません。
工程がいくつあるのかは個人差があるのでしょう
けど、細かい作業はしていられないという訳
です。考え込むなど以ての外なのでしょうね 笑
着手してから逃走まで、シミュレーションを入念
に行い、迅速な行動が求められる犯行となるので
しょう。



警察沙汰も多く経験している事でしょう。時には
怪盗ルパンさながらの逃走劇があったのかもしれ
ません 笑 やはり天敵が存在していて、お互いに
大捕物劇を生き甲斐に人生を楽しんでいたり 笑
そんな夢のある妄想を抱かせてくれるバンクシー
はやはり、アウトローとしての魅力があるの
でしょうね。落書きで社会風刺して逃げているだけ
なのですけどね 笑 バンクシーの作品の中には
警察や警察官をモデルにしている作品が、上の三点
だけではなく、無数に存在します。勿論、反体制の
精神だったり組織そのものを揶揄する作品は多いの
ですが、時折情愛を感じたり、ブラックユーモアに
富んだ一面を窺わせる作品も多く存在します。
これは全ての作品に共通するのですが、神の如き
視点で森羅万象に通じ、愛とユーモアの反体制を
落書きという不道徳な手段で伝える。隠微な。それ
でいて普遍性のあるメッセージを。遊び心満載で。
何かロックですよねぇ。特に反体制であったり、
左翼的な要素はパンクロックの気風に酷似してい
ます。まあ、イギリスはパンクロックの聖地でも
あるので、その性質はどこか根っ子で繋がっている
のでしょうね。それに、バンクシーの正体は
ミュージシャンとも噂されていたりしますから。

こちらは、スティーブ・ラザリデス氏。イギリスの
画商で、何とバンクシーのマネージャーを10年
もの間務めていた人物。金銭面でのマネジメントを
含め、バンクシー専属のカメラマンとして同行し
ていました。その10年間をまとめた写真集が
こちら。

私は彼の正体にあまり興味がないのですが、
どのような状況で壁面と向き合っているのか、
ステンシル製作の工程など。フードを目深に
被ったお決まりのスタイルで写真に収められて
います。興味がある方は購入してみても面白い
かもしれません。聞いたところによると、紛争
地域で、複数の銃口を向けられながら作業をした
経験があるのだとか 笑 これは本人も然ること
ながら、ラザリデス氏や取り巻きは相当肝を
冷やした事でしょうね 笑 落書きで蜂の巣に
されたのでは割りに合いません 笑

続いてこちらは2006年に起きた、バンクシー
事件簿の中でも特に有名なシュレッダー事件の模様
です。オークション会場で落札されたばかりの
バンクシーの作品(風船と少女)が、まさに、
オークショニア・ハンマーが鳴り響いたその時、
不審なアラームと同時に額縁の自動仕掛けがおもむ
ろに動き出し、下方向へと作品がスライドして
縦にシュレッドされてしまうという、何とも
ミステリアスな事件です。これは表向き、バンク
シーのオークションビジネスに対する批判による
テロ的犯行だと言われていますが、シュレッダーが
仕込まれた額縁など、通常の物と形状が異なるに
決まっていますから、このオークションを取り仕切
っていた老舗のオークション会社であるサザビーズ
はこの事実を知っていたのだと私は思います。
そして何より、史上初のオークション会場にて
ライブで生まれた作品だという触れ込みで、落札
時には一億五千万円ほどであった金額も、
『愛はゴミ箱の中に』というタイトルに名前を
変え、二倍以上にも跳ね上がり、そのままの状態
で持ち帰られ、この欺瞞だらけのオークション
は幕を閉じたそうです。バンクシーのオークション
会場での批判はこれが初めてではないし、犯行声明
がバンクシーサイドから出ており、その舞台裏の
様子もSNS上で公開されていますから、オークショ
ンビジネスに対してのバンクシーの批判は本物なの
でしょうね。しかし、どのような場面でも商談に
持ち込むサザビーズの手腕と、その波に乗って投資
する投資家勢の経済力。そしてやはり、どれだけ
世の中を批判し、悪態をついても揺るがないバンク
シーの知名度と人気には、只々、圧倒されます 笑


さて、ここで私のお気に入りの作品を二点、
ご紹介させて頂きます。まず、上の画像がこれ、
イギリスのポンド紙幣を真似た、所謂偽札です。
しかも、バンクシーはこのお札をノッティング
ヒルの大規模なカーニバルで物理的にバラ撒いた
のです。バンク・オブ・イングランドの文字を
バンクシー・オブ・イングランドと書き換えて言葉
遊びをしてみたり、エリザベス2世の肖像画を故・
ダイアナ姫に変えてみたりと遊び心満載で工夫を
凝らすのはわかるのですが、悪ノリが過ぎますね
笑 どれも犯罪ですけど、これはタチが悪い 笑
更にこのお札、少しの間流通してしまったらしい
ですよ。明らかに偽札とわかっていながら使う方も
どうかと 笑 然しものバンクシーもお札が使われ
ていた事が分かると、そこからはバラ撒くのを
控え、回収に廻ったようですが、バラ撒いた枚数と
流通してしまった枚数。拾われなかった枚数も計算
に入れると、かなりの枚数が足りなかったらしいの
です。おそらくバンクシーの仕業だと感づいた者達
はいち早くその偽札の別の意味での価値に気が付い
たのでしょう。そのうち高値で世の中を出回る日が
来るかもしれませんね 笑
そして下の画像。タイトルは、ラブ・イズ・イン・
ジ・エア。愛は空中にと訳せば良いのでしょうか。
俗称でフラワー・スローなどと呼ばれる事もある
ようです。この作品はバンクシーの初期の頃の
作品で、代表作の一つです。パレスチナ自治区の
ベツレヘム(キリストの生誕他とされている)
という街のガソリンスタンド裏の壁面に描かれ
ました。

現地ではこのように描かれていたようです。もはや
ストリートアートというより、宿命的に壁面に
浮かび上がった神の啓示が如き威光。こちらの
作品も勿論、社会風刺が施されています。中東と
いえば紛争が絶えませんからね。パレスチナとイス
ラエルとの長い戦いの中で、壁面のような若者が
有ったのかもしれません。パレスチナ側での作品
ということで、この若者はパレスチナの人間である
事がわかります。イスラエルへ向けて険しい面持ち
で何かを投げ込もうとしています。石か火炎瓶か、
その風貌や投げ込む姿勢からはそのように連想し
ますが、この若者が投げ込もうとしているのは
花束。そう。真剣に花束を投げ込もうとしている
のです。タイトルは、愛は空中に、ですので、この
場合、花束は愛の象徴になるのでしょう。これは
どんな変革も、平和的解決で成さねばならないと
いう、活動家としての側面を垣間見たバンクシーの
強いメッセージが込められています。しかし、原寸
がこれほど巨大だとはね、、笑 大きさは気持ちの
強さなのでしょうか、、。まあ、サイズはともか
く、愛の象徴が花束であるというのも洒落ていま
す。「愛でも喰らいやがれ」と吹き出しを付け足し
てあげたいくらい 笑
作品に込められた強いメッセージやそのヴィジュ
アル。大胆不敵な大きさなど、胸にグッとくる
良作品だと私は思います。まあ、もっとも。バンク
シー本人が作品として描いているのかは不明です
けどね 笑
さて、長くなりましたが、今回は現在東京原宿にて
開催されているバンクシー展についてお話させて
頂きました。著作権フリーなのか、館内での写真
撮影は全て許可されています。音声ガイドは無料
ですが、スマートフォンなどのモバイル端末と、
イヤホンが必要になってくるでしょう。それと、
経験からして、作品数が他の美術展より多く、
かなりのボリュームがありますので、音声ガイドを
利用する場合には、たっぷりと時間を作るか、ある
程度で見切りをつけなければ終わりません 笑
ちなみに私は二時間半ほどで見込んで臨みました
が、全く時間が足りませんでした 笑 東京は
3月8日(火曜日)までの開催となっておりますの
で、興味のある方は是非足を運んでみてください。
最後になりますが、今回の展覧会は、バンクシーは
天才か反逆者かというお題目があり、公式のウェブ
サイトや現地でも投票出来るようになっております
が、どうか気にせずに楽しんで頂きたい。人は
表裏一体であり、どちらにでもなり得るからです。
テーゼがあれば、アンチテーゼもある。理性を
軸にそれらを使い分けていくのが人間です。
そのあたり、バンクシーの世界に触れてみて、何か
一つでも感じ取ることが出来れば観る価値はあった
のでしょうね。あ、それと皆さん、落書きは犯罪で
すよ。真似をしてはいけません 笑
では、また、、

バンクシー展
皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。
申し訳ございませんが、本日は東京23区に
大雪警報が出ている為、休業とさせて頂きます。
では、また、、