駒田蒸留所へようこそ(ネタバレなし)


皆さんこんにちは、バー シエールの岡本です。

木枯らしも吹いてすっかり秋模様。朝晩の冷え

込みが身に染みますね。さて、タイトルにもある

通り、今回は駒田蒸留所へようこそという映画の

お勧めです。もう既に勧めた方もいますが、感想

も含めて少しお話ししますね。

本作品は、日本のアニメ制作会社、P.A.WORKS

制作のお仕事シリーズ第5弾になります。

ウイスキーの小規模蒸留所で繰り広げられる

人間模様をつぶさに描写したアニメーション

映画ですね。家族の絆。ウイスキー作りの尊さ、

仕事選びの難しさなどがテーマになっているで

しょうか。

私はウイスキーや洋酒に携わる立場ですが、

忖度抜きで出来栄えは上々です。まず、ウイス

キーという題材は別として、映画自体のクオリ

ティがそれなりに高い。主役級の役どころにも、

有名な声優陣を起用しています。もちろん、主題

であるウイスキー作りに関しては、本作品は

ウイスキー作りの専門家が協賛していますから

、興味のある方は勉強になる部分も多々あるか

と思います。特にウイスキー作りの工程や、日本

におけるウイスキー市場の趨勢などは、アニメ

ーションならではの解りやすさがありますから、

退屈せずに学べるのではないでしょうか。

これからご覧なる方のためにもあまり核心に

触れるようなことは言えませんが、洋酒を扱う

者の端くれとして、この作品を楽しむ上で、一つ

だけアドバイスがあります。劇中後半部分で、

〝カスク・フィニッシュ〟という言葉を耳にする

ことになります。この〝カスク・フィニッシュ〟

とは、ウイスキーの樽熟成に関わる言葉です。

カスクとは、ウイスキーを熟成させる樽のこと

です。まあ、直訳すれば、樽の終わり。終わりの

樽。になりますね。そのままの意味なのですが、

ウイスキーの熟成工程では、その熟成期間の

最後の数ヶ月だけ、それまでの樽から別の樽へと

移し替えて行う、謂わば追加熟成を〝カスク・

フィニッシュ〟と呼称します。効果としては、

移し替えた最後の樽で寝かせたその樽の個性が、

そのウイスキーのフレーバーに大きな影響を与え

ることが出来ます。例えば、最後の樽をワインを

熟成させていた樽にすれば、そのウイスキーに

はワインのフレーバーが宿ります。もちろん、

それまで熟成させていた樽の個性も引き継いで

のことなので、組み合わせによっては、一種類の

ウイスキーで様々な個性を生み出すことが可能

になるのです。このあたりを頭に入れてこの作品

をご覧になると、感動もひとしお。よく出来てる

映画だなぁと。個人的には感服致しました 笑

上映時間も91分と、程よい長さで疲れません。

ふと時間が空いたときにでも、ご覧になってみて

はいかがでしょうか。視聴後は是非バーへ足を

運んでいただき、時間の掛かるウイスキー作り

の尊さを、その口、その舌で味わってみてくだ

さい。では、今回はこの辺で。また、、