拾遺集。其の一。


 

皆さんこんにちは、バーシエールの岡本です。

日が瞬く間に短くなり、朝夕は10度を下回る

日が多くなってきましたね。ここから冬へと

一直線です。物心両面での準備が必要になって

きますよね。慌ただしくなりそうです。

さて、今回からはしばらく、ブログに上げ損なっ

たいくつかのお話を続けてご紹介させて頂きます。

先ず初めに、こちらのゴッホ展。ゴッホ展は

前回、コロナ禍で行き損ねた経緯がありまして、

今回は満を持してじっくりと鑑賞して参りました。

因みに、前回のお目当ては『ひまわり』でした。

残念。

只今公開中の本命は糸杉シリーズの傑作。

『夜のプロヴァンスの田舎道』

ゴッホといえば、名画として有名な作品のほとんど

はアルル、サン=レミ時代に集中していますが、

今回の展覧会は、初期からサン=レミまでと

幅広く構成されており、その中でも、ゴッホの

芸術にその生涯を捧げ、世界最大の個人収集家と

なったヘレーネ・クレラー=ミュラーのコレク

ションになります。ゴッホの作品はほぼ全て、

彼が亡くなったのちに売れていくのですが、

ヘレーネはゴッホの生前から、いわば不遇の時代

からファンであり続け、その後世界最大の収集家

となり、今もこうして彼女の情熱は語り継がれて

いるのです。しかしながら、これはかなりの金額

を投資した事でしょうに、、下世話ですが、

実業家であった夫、アルトンさんはその実、どう

思っていたのでしょうね。金銭面だけではなく、

駆け出しの画家のシンパサイザーとなった妻が、

世代は違えど、同じ時代に生きた異性に長年心を

奪われてきた訳ですから。尊ぶべきは、ヘレーネ

の情熱を支え続けたアルトンさんの類い稀な経済力

と、その懐の深さでではないでしょうか。

同じオランダ出身の画家としてゴッホにとっては

先輩格に当たるフェルメール。そのフェルメール

にはラピスラズリの青。俗にフェルメール・ブルー

と呼ばれる個性があるように、ゴッホにはクロム

酸鉛のイエロー。ゴッホ・イエローがあります。

上の二点は今回の展覧会でも鑑賞出来ます。クロ

ム・イエローの特徴は少し赤みがかった黄色。

明るく、情熱的な印象を受けます。ひまわりも

そうですが、私のお気に入りはやはりこちら。

アルル時代の傑作。『夜のカフェテラス』ですね。

ヘレーネコレクションにあるはずなのに今回も

お預けです。複製画の物販の方に状況を尋ねた

ところ、劣化の進行が激しく、長距離の旅に

耐えられないのだとか、、。残念ですが、事態は

深刻の様です。これはもう、オランダの現地

(クレラー・ミュラー美術館)へ足を運ぶ他なさ

そうですね。いつになる事やら、、笑

最後になりますが、只今公開中のゴッホ展は

2021年、12月12日(日曜日)までとなり

ます。私がお邪魔したのは9月になりますが、

まだまだご盛況との事。ご興味のある方は、是非

とも、ヘレーネの推しっぷりをご堪能ください。

では、また、、

ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネと

フィンセント