タピオカのカクテルについて。


皆さん、こんにちは、バーシエールの岡本です。

今回は一部のお客様だけに提供していた秘事を

赤裸々に語ります。一部お耳汚しをしてしまう恐れ

がありますので、ご了承ください。

タイトルにもある通り、タピオカのカクテルについ

てなのですが、当店、実は随分と前からタピオカ

入りのカクテルを作っておりまして、実際に店で、

一部のお客様限定で秘密裏に提供しておりました。

何故わざわざ内緒にしてるのかといいますと、

私がお客様に勧める事が恥ずかしいからです 笑

正直、タピオカという単語を口にする事すら憚られ

ます。前半のタピはちょっと可愛い感じなのに、

後半はオカとお堅い感じ。口に出す度に戦慄です。

ですが、そんな私に転機が訪れたのはそう、あれは

数年前のあの日、とあるお客様から

始まったのです——。

 

「マスターはタピオカって飲んだことあります?」

屈託のない澄んだ笑顔だった。若い女性客。内巻

きにした髪が愛らしい色白のその女性は、その笑顔

に相応しいすず声で軽やかに言った。私が面食らっ

た様子で答えあぐねていると、

「わたし、飲んだことないんですよねえ、あの列に

並ぶのが恥ずかしくって」面映い感じにそう

続けた。

「流行っていますものね。私も飲んだ事はないん

ですよ。理由はお客さんと一緒です」私は本当の事

を伝えた。

「そうですよねえ。でも、わたし。マスターがあの

列に並んでいたらちょっと引いちゃいます」

コロコロと笑っているが、同感だった。

「そうだ」彼女はパッと表情を明るくする。

「タピオカのカクテルって作れないんですか」

突拍子もない問いに私はまたぞろ返答に窮した

が、かろうじて、「出来ない事はないですよ」

そう答えた。

「本当ですか。じゃあ、今度来る時までに用意出来

ますか」彼女は目を輝かせた。

「出来ますよ」と私が答えると、彼女は

「やったあ」と胸のあたりでパチパチと小さく

手を叩いた。

「約束ですよ」

「はい、約束です」

彼女は満足そうに顔を緩めると、くいっと小気味

よくカクテルグラスを返し、颯爽と店を後にした。

 

そう、この日を境に私はタピオカに手を染めた

のです。かなり思い出が美化、というか、捏造され

ていますがね。正直に言いますと、最初にオーダー

を受けたのは男性でした 笑 ただ、タピオカを

飲めなかった理由は同じです。とにかく、それから

というもの。一部のお客様だけに提供し続けた

タピオカのカクテルですが、一部のお客様が増え

続け、情報をネットで公開した方が良いという声も

多く寄せられた為、今回に至りました。

さ

タピオカのカクテル    ¥1、000

レシピは紅茶のリキュールをメインにウォッカと

フランボワーズのリキュールを少量加え、ミルクと

生クリーム、シロップを更に加えてシャーベット状

にしたものを、あらかじめグラスに用意した

タピオカの山に流し込みます。タピオカ専用の

ストローで召し上がってください。男女を問わず、

同じようにタイミングを逸し、未だに手付かずの

方や、いつものタピオカに食傷気味な方々も。

ワンランク上の大人のタピオカを試してみま

せんか 笑 では、また、、